(32)久喜・大林銀山遺跡(邑南)

採掘作業に使った丸木のはしごなどが残り、往時の様子が分かる道小(どうこ)間歩群
 全容解明へ調査を継続

 世界遺産登録された石見銀山遺跡(大田市)から南に約50キロ離れた邑南町の久喜・大林銀山遺跡。多数の間歩の発見や、鉛を介した石見銀山との関連性などが注目を集める。町は、世界遺産への追加登録を「将来の夢」と位置づけ、本格的な調査を実施中だ。

 「調査を進めれば、間歩の数はもっと増えますよ」。町文化財保護審議会の吉川正副会長(64)が解説する。町教育委員会のこれまでの調査で、石見銀山を上回る900カ所超の間歩が確認されているが、未調査範囲がまだ広く残る。

 鉱床学の専門家による現地調査では、鉛の製錬炉跡とみられる遺構を床屋間歩群内で発見。石見銀山で大量の銀の精錬に用いられた「灰吹法」に不可欠だった鉛の供給元だったとの見方も示され、石見銀山との関わりが指摘された。

 町教委は、遺跡の全容解明に向け、2012年度から3年計画で調査を実施中。価値を検証する専門組織を13年度に発足させる。世界遺産への追加登録という壮大な夢に向かい、今は町指定文化財にもなっていない遺跡のステップアップを目指す。

 一帯には、間歩に加え、銀などの製錬炉跡や、鉱滓(こうさい)を捨てた「からみ原」など、往時をしのばせる遺構が数多く残る。地元の住民団体「久喜・大林銀山保全委員会」(森脇政晴委員長)による無料ガイドが「もう一つの銀山」の歴史を分かりやすく教えてくれる。

 ~メモ~

 無料ガイドの問い合わせは久喜・大林銀山保全委員会、電話090(4651)1415。

2013年3月21日 無断転載禁止