レッツ連歌(下房桃菴)・4月11日付

(挿絵・FUMI)
◎家に忘れてきた定期券

休んでもいいということだと決める
               (大田)掛戸 松美

新聞の今日の運勢思い出し   (松江)福田  昇

新婚の休暇は夢のごとく過ぎ  (松江)余村  正

マラソンで鍛えた脚が役に立ち (浜田)勝田  艶

大雪のため運休となってます  (松江)山﨑まるむ

弁当はしっかり持ってきたけれど(雲南)渡部 静子

退職をしたことフッと思い出し (松江)田中 堂太

退職をしてもしばしば見る悪夢 (川本)栂野  菊

ドラえもんちょっと出てきてくれないか
               (出雲)行長 好友

ズタズタに引き裂かれてたツーショット
               (江津)花田 美昭

ハチ公が今にくわえてやって来る(松江)相見 哲雄

スリッパのまま女房が追ってくる(出雲)原  陽子

女房を亡くして知ったありがたさ(益田)吉川 洋子

駅員もローカル線は顔なじみ  (松江)野津 重夫

サボる癖ついてしまった二年生 (益田)竹内 良子

お嬢さん僕の車で送りましょう (出雲)矢田カズエ

女房に化粧がまだと断られ   (松江)花井 寛子

去年まで国会議員してました (奥出雲)松田多美子

ダメはダメたとえわが社の社長でも
               (松江)木村 更生

自転車でママが追ってく一年生 (松江)森広 典子

タクシーでママが届ける冬彦さん(松江)高木 酔子

失くしたと思えばなんてことはない
               (松江)中村 清子

バスやめてタクシーにするヘソ曲がり
               (松江)松田とらを

放浪の旅の始まる予感して   (美郷)芦矢 敦子

寝過ごして飯も食わずに飛び出して
               (松江)杉本 末吉

昼食はおにぎり一個やっと買え (出雲)原  慎二

春服に替えた気分が重くなり  (益田)石田 三章


          ◇

 美昭さんの句は、考え落ち―。定期券を家に忘れて、どうして会社へ行ったのかと思いますが、そんなことはどうでもよい。問題は、定期入れには、定期だけが入っているわけじゃない、ということですね。

 別の方から、

  母さんが彼女の写真見てるかな

という作品をいただきました。ほとんど同じアイデアで、この句も捨てがたいのですが、「彼女の写真」が、やや説明のしすぎのように思います。その上、入選句のほうは「母さん」ということばは、あえて使っておりません。

 決してお気を悪くなさらないでください。あと一歩だったのです。で、その一歩とはすなわち、いま申しあげたとおりの一歩にすぎません。

 典子さんの句と酔子さんの句も、ある意味で似たような状況ですが、「自転車」と「タクシー」、「一年生」と「冬彦さん」の対比がおもしろいですね。人がどんな句を作るかは分からないのですから、あらかじめ意図したわけではもちろんない。が、同じ前句にいろんな人が挑戦すると、こんな楽しい偶然も生まれるものなのですね。

 たった一度定期券を忘れたからといって、タクシー通勤に変えるというのは、気が小さいのだか大きいのだか、まるで分からない。「ヘソ曲がり」であることだけは、どうやら間違いなさそうな。

 ま、放浪を始めるよりはマシとしましょう。敦子さんの句は、理由がさっぱり分からないところが、妙に気に入りました。

          ◇

 次は、

下駄(げた)箱にほんとに下駄のある不思議

という不思議な前句に、愉快な七七を付けてください。

「下駄箱」とか、「筆箱」とか、あるいは「黒板」とかいう言葉は、今でも学校で使われているのでしょうか。どなたか、ついでにお教えください。

2013年4月11日 無断転載禁止

こども新聞