紙上講演 経済ジャーナリスト 大西良雄氏

経済ジャーナリスト 大西良雄氏
どうなる2013年度の日本経済

増税の決断がポイント

 山陰中央新報社の石見政経懇話会、石西政経懇話会の定例会が16、17の両日、浜田市と益田市であり、経済ジャーナリストの大西良雄氏(67)が「どうなる2013年度の日本経済」と題して講演し、安倍晋三首相が進める経済政策「アベノミクス」への期待感だけが先行することに懸念を示した。要旨は次の通り。

 円の独歩安で輸出企業の収益が好転し、それに伴う株高で消費者のマインドが改善したことは確かだ。しかし実体経済はそれほど良くなっていない。

 円安で資源や穀物などの輸入価格が上昇し、生活物資は値上げラッシュの様相。一方で大手企業の賃上げ率は昨年と変わらない。一般消費者には当面、「円安値上げ」の負担の方が重くなる。

 アベノミクスは黒田東彦総裁が率いる日銀の「異次元金融緩和」で実践段階に入ったが、それだけで銀行の融資は増えず、実体経済へ波及しない。デフレの根本的な原因に対処しないといけない。

 まずは人口減少の問題。人口が多く経済成長率も高いアジアを市場に取り込むため、環太平洋連携協定(TPP)への参加は不可欠だ。また医療・介護やエネルギーといった成長産業を、規制緩和などによって伸ばすことも重要だ。

 一方、14年4月に予定する消費税率引き上げを政府は秋に最終判断するが、先送りすれば財政再建への取り組みが国際的に信認されなくなり、日本国債売り、円売りのリスクを抱え込むことになる。増税の決断は今年の大きなポイントだ。 

2013年4月18日 無断転載禁止