レッツ連歌(下房桃菴)・5月9日付

◎下駄箱にほんとに下駄のある不思議

京都太秦ここ映画村      (松江)木村 敏子

絶滅危惧種に選定をされ    (松江)三島 啓克

深く考えないことにする    (浜田)滝本 洋子

殿の草履は懐の中       (雲南)佐藤 風子

亭主は逝ってはや十三年    (江津)岡本美津子

浴衣のきみは尾花の簪     (松江)森広 典子

タイムスリップしただけのこと (松江)相見 哲雄

鼻緒に結ぶ愛の告白      (出雲)尼子 美久

ドールハウスは手が込んでいる (松江)水野貴美子

一ねん一くみゲゲゲの鬼太郎  (松江)山﨑まるむ

老舗旅館はお客でいっぱい   (江津)江藤  清

露天風呂まで長い敷石     (松江)岩田 正之

かならず当たるお天気占い   (川本)栂野  菊

学芸会で貫一の役       (出雲)黒田千華子

夢の中ではまだ小学生     (松江)庄司  豊

さっき確かに燃やしたマジック (松江)安東 和実

そのままトイレから出てきたナ (松江)川津  蛙

日本に住みつく外国の人    (松江)杉本 末吉

応援団長だった父さん     (出雲)原  陽子

珍百景に投稿してみる     (出雲)放ヒサユキ

水虫らしい校長先生      (江津)花田 美昭

築百年の古民家を買い     (飯南)塩田美代子

松江の朝はカラコロと明け   (松江)高木 酔子

           ◇

 予想どおり、「ゲゲゲの鬼太郎」を詠んだ句を、たくさんお寄せいただきました。その中で、まるむさんの句は、小細工をしていないところが、大いに気に入りました。もっとも、原案で「一年一組」とあった表記だけは、ちょっと変えさせていただいております。ここらが桃菴センセの芸の細かいところ―。

 いまどき「金色夜叉」もないでしょうが…。いや、昔にしたところで、「学芸会」で、そんなもの、やったでしょうか。前句以上に不思議な、千華子さんの作品でした。

 和実さんの「マジック」―、そんなドロくさいのは、私は見たことありません。

           ◇

 「下駄箱」「筆箱」「黒板」などということばは、いまでもふつうに学校で使っていると、多くのかたからお教えいただきました。ありがとうございます。

 それにしても、ことばというのは、おもしろいものですね。さすがに「白墨」なんかは、とうに死語になっているのでしょうが。

 そういえば、私の先師は、「白墨亭長躯」と名乗っておりました。実はこのあたりに、「しまだい連歌」の淵源はあるのですが…。

           ◇

 で、次の前句は、その先師の遺作から―、

  三服だけで灰皿に捩(ね)づ

 たばこはぜんぜん喫わぬ先生でしたが…、そんなことは、連歌の世界ではなんの不思議もありませんよね。この句に、今度は五七五の句を付けてください。

              (島根大名誉教授)

2013年5月9日 無断転載禁止

こども新聞