(33)旧陸軍歩兵第21連隊屋内練兵場(浜田)

浜田高校の敷地内にあり、運動部の屋内練習場として使用される旧浜田連隊の屋内練兵場
 赤れんがの強い存在感

 授業や部活動で活気あふれる浜田高校(浜田市黒川町)の敷地の一角で、西洋建築を取り入れた赤いれんが造りの建物が強い存在感を示している。旧陸軍歩兵第21連隊(通称・浜田連隊)の訓練施設として建てられた屋内練兵場だ。現在は運動部の生徒らが第2体育館として使用している。

 21連隊は1884年に広島県で創設され、日露戦争後の98年に浜田市へ転営。1916年に建てられた練兵場は平屋建てで、面積644平方メートル。兵士の訓練には柱のない広い空間が必要なため、れんがと鉄骨を組み合わせた西洋式の工法を用いて実現した。

 同工法による施設建築は国内でも初期のものといい、97年には戦争遺跡として国の登録有形文化財に指定された。

 同市黒川町周辺はもともと田園地帯だったが、約2千人の兵士を擁する連隊の転営に伴って、練兵場の他にも司令部や兵舎、病院が次々に建てられて町を形成。施設建築に伴う雇用が生まれた他、食料品や日用品の需要などで商店街や農家は潤い、軍都としてにぎわいを見せた。

 同市で生まれ育ち、当時の町の様子を知る郷土史家の神山典之さん(85)=同市錦町=は「戦争の記憶は年々薄れていくが、当時の貴重な建物が現存していることを知り、見に訪れることでそれぞれが思いをはせてほしい」と願う。

 浜田高と同様の形式の練兵場は隣接する浜田一中にも現存する。こちらは1898年建造で、現在は板張りになり部活動で使われている。

2013年5月23日 無断転載禁止