レッツ連歌(下房桃菴)・6月13日付

(挿絵・FUMI)
◎三服だけで灰皿に捩(ね)づ

手に書いた人という字を呑みこんで
               (大田)柴 わん子

バスツアー早く早くと急かされて(浜田)松井 鏡子

五年前やめているのに夢に出て (出雲)石飛 富夫

電子化をしても直らぬ悪い癖  (出雲)放ヒサユキ

表彰もされぬ高額納税者    (松江)多胡 誠夫

一本で一週間はもたせねば   (美郷)源  瞳子

何回もNGを出す喫わぬ人   (松江)野津 重夫

いいかげん白状しろと睨みつけ (川本)栂野  菊

表情も変えず刑事はさてと言い (益田)石田 三章

待ちかねた来客告げるチャイム鳴り
               (松江)持田 高行

また来ると妻待つ家へ帰る君  (出雲)原  陽子

出動のサイレン響く消防署   (松江)余村  正

折り入って話があると切り出して(益田)吉川 洋子

聞いてないことにしようと揉み消して
               (益田)小倉  豊

野郎ども抜かるんじゃねぇ殺っちまえ
              (津和野)岡田 忠良

先公が来たと見張りの友の声  (益田)石川アキオ

早いこと蚊取り線香買ってきな (松江)山﨑まるむ

なにしても面白くない五月病  (松江)木村 敏子

ハンカチでそっと包んで鑑識へ (松江)高木 酔子

ゆるキャラは休憩さえもままならず
               (出雲)黒田千華子

悪ぶって喫ってはみたがむせ返り(雲南)渡部 静子

家族中だれも知らない父のこと (江津)花田 美昭

もしかして電話は組閣本部から (松江)木村 更生

一日に二便のバスがやっと見え (松江)佐々木滋子

国際線ファイナルコールくり返し(松江)森広 典子

子のときはやめる気もなく孫生まれ
               (大田)繁田ユワヨ


           ◇

 たばこにかかる税金は、代表的な紙巻きたばこで、二十本入り四百十円のうち、二百六十四円四十銭だそうで。一日一箱喫えば、一年でおよそ十万円にもなります。もっとも、「一本で一週間」もたせれば、七百円弱で済む。

 もっと徹底しているのは、私の中学時代の恩師。今はたばこをやめて、ただし、たまに喫いたくなると火をつけないで口にくわえ、気がすむと箱に戻されます。この前、同窓会で、先生のスキを見て火をつけた悪ガキがいましたが…。

 「先公が来た」といえば、小学生のころを思い出します。私たちは先生の姿を見つけると、「センキャー、センキャー」という「暗号」で仲間に知らせることになっていました。とはいえ、昔の小学生ですから、大した悪さはしておりません。その上、この暗号、実は「先生が来やはった」の略で、ちゃんと敬語を使っていたのですね。かわいいものです。

 それが、中学高校の生意気ざかりになると、「蚊取り線香」も要るようになる? もっとも、匂いがだいぶ違うように思うのですが…。そのナンセンスぶりに加えて、まるむさんの句は、早いこと「持ってきな」じゃなく「買ってきな」としたところが、実におもしろい。その蚊取り線香屋までは山越えの三里…、てなことはないでしょうね。

 最後になりましたが、今回いちばんド肝を抜かれたのは、忠良親分の名作―。恐れ入りやした。

           ◇

 次の前句は、突然ですが、

  見る人は見ているものだなと思い

 最近ふとそう感じたことがあっただけのことです。前句を出すほうは気楽なもので、しかし、みなさんは、この句を前にせいぜい苦吟してください。

付句は七七です。

              (島根大名誉教授)

2013年6月13日 無断転載禁止

こども新聞