最前線リポート 日本企業の対印ビジネス本格化

建設中のマンション
 12億人を超える人口を抱え、内需主導型の力強い経済成長を続けるインド。2000年代半ば以降は、巨大市場を狙った外国企業の参入が本格化し、自動車や機械などの主要産業分野を中心に日本企業による進出も増加の一途をたどっている。

 在インド日本大使館の調べによれば、インドに進出する日本の企業数は12年10月時点で926社、1800拠点に上る。05年4月と比較すると、企業数は約4倍、拠点数は約6倍に達する(グラフ参照)。

 なかでも直近の1年間(11年10月~12年10月)で企業数、拠点数がともに過去最高の増加幅を記録するなど、日本企業によるインド進出の勢いが年々加速している状況がうかがえる。近年は、インド企業との合弁やM&A、戦略的提携によるインフラプロジェクト参入など、その参入形態も多様化している。

 一方、日本国内においては、とりわけ中小企業を中心に「インドビジネスはハードルが高い」との見方が根強い。なかでも、最大の障壁と認識されているのが、電力不足による停電の頻発や道路網の未整備、工業団地不足などに代表される産業インフラ整備の遅れ。インドへの進出を検討する企業は、進出先の事情に応じた「インフラ不足への備え」を見込んだ事業計画を策定することが当面の課題になる。

 また中期的には、現状のインフラギャップを埋めるための開発計画の進展も期待される。先月29日に実現した安倍首相とシン首相の首脳会談では、産業を下支えする大型インフラやエネルギー開発プロジェクトの推進に、両国が共同で取り組むことが合意された。年間1500億ドル規模とも試算される官民一体型プロジェクトの進展が、インフラ開発分野における日本企業に多くのビジネス機会を生むとともに、進出企業のビジネス環境改善につながることが期待される。


伊藤博敏 日本貿易振興機構(ジェトロ)海外調査部アジア大洋州課課長代理

伊藤博敏氏
 いとう・ひろとし ジェトロ海外調査部アジア大洋州課課長代理。1998年4月、日本貿易振興会(現機構)に入会。2003年3月から08年3月までインドニューデリー事務所駐在。同年4月から現職。インド・南西アジア地域ならびにASEANの経済動向、ビジネス環境、経済連携等に関する各種リポート執筆、講演活動、法制度や進出実務に関するコンサルティング等の業務を担当している。

2013年6月14日 無断転載禁止