島根ふるさと遺産100選 (7)神社、パワースポット

古事記編纂(さん)1300年などで注目を集める出雲と石見の神社、パワースポットなどを紹介する。

荘厳な空気が漂う韓竈神社の社
韓竈神社と唐川の茶畑(出雲市)

 出雲市唐川町の山中にひっそりと鎮座し、スサノオノミコトを祭る「韓竈(からかま)神社」は近年、パワースポットとして注目され、全国から参拝者が訪れる。

 鰐淵寺で知られる鰐淵地区にあり、氏神「かんかまさん」として地元で親しまれている。出雲国風土記(733年)に韓?社(からかまのやしろ)と記される由緒ある神社だ。

 社への道のりは険しい。木々が生い茂る清流沿いの道を歩き、鳥居をくぐると、急な石段が待ち構える。石段を上り終えて幅45センチの岩の隙間を通り抜けたら、岩に囲まれた小さな社にたどり着く。背後は崖。霊場の荘厳な空気が漂う。

 同じ町内にある「唐川の茶畑」は、住民たちが明治時代から栽培を始め、守り続ける茶畑だ。畑の上には韓竈神社の拝殿があり、山中の本殿に代わって、地元の日常の信仰の場になっている。

 隠れ里のような村落に、整然と刈り込まれた茶畑が広がる風景は、「お茶の里 唐川」として2009年度の「しまね景観賞」大賞を受賞した。

社殿創建から1500年を迎える物部神社
物部神社(大田市)

 大田市川合町に石見国一宮・物部神社がある。

 祭神はウマシマジノミコト(宇摩志麻遅命)で、文武両道や勝運の神としてあがめられている。天皇の勅命により513年に社殿を創建。石見銀山争奪の兵火などで3度消失し、1753年に再建され、現在に至る。春日造としては全国一の規模を誇るという。

 宇摩志麻遅命は、石東の地を平和な豊かな地域とするため、鶴に乗って降臨したとされる。それにちなみ、真っ赤な太陽を背負った鶴「ひおい鶴」が神紋となっている。

 新春には千年以上の歴史を持つといわれる、氏子が「鬼」と書かれた大的を射て1年間の無病息災を祈願する奉射祭(ぶしゃさい)の的前神事や、節分祭(2月)など神事や行事が年間を通じて行われている。

 今年は社殿創建から1500年を迎える。歴史に彩られた物部神社の壮観なたたずまいが、訪れた人々を魅了している。

日本五大稲荷の一つとなっている太皷谷稲成神社
太皷谷稲成神社(津和野町)

 日本五大稲荷(いなり)の一つ、太皷谷稲成神社。朱色に染まった鳥居や社殿が、津和野の城下町を眼下に眺める太皷谷の峰に浮かぶ。

 1773(安永2)年、津和野藩7代藩主・亀井矩貞(のりさだ)が城の鎮護、領民の安泰を祈願するため、伏見稲荷(京都府)を勧請し三本松城(津和野城)の表鬼門にあたる太皷谷の峰に創建。以降、歴代藩主の崇敬を受け、廃藩後は庶民も参拝できるようになって中国地方有数の稲荷神社となった。

 祭神は食物の神、ウカノミタマノカミ(宇迦之御魂神)とイザナミノミコト(伊弉冉尊)の二柱。五穀豊穣(ほうじょう)、商売繁盛、開運厄除の神として信仰を集め、新春は約20万人の参拝客が押し寄せる。

 「稲が成る」と表記するのは、全国の稲荷神社の中で唯一。大願成就の祈りが込められているという。今年11月には鎮座240年式年大祭が執り行われる。1923年に建設された元宮(旧社殿)の修復工事や、社殿の塗り直しなどが実施され、一段と輝きを増す。

須我神社の奥宮の夫婦岩
須我神社(雲南市)

 日本初之(の)宮で、和歌発祥の地とされる須我神社。スサノオノミコトとクシナダヒメ、息子のスガノユヤマヌシミナサロヒコヤシマノミコトを祭り、縁結び、子授・安産、除災招福に御利益があるという。

 古事記によると、ヤマタノオロチを退治したスサノオが、クシナダヒメと結婚し、新居探しの末たどり着いたのが須賀の地。スサノオが「わたしはこの地に来て、心がすがすがしくなった」と言い、当地に初の宮殿を造ったとされる。

 宮が完成し、美しい雲が立ち上る様を見たスサノオが「八雲立つ 出雲八重垣 つまごみに 八重垣つくる その八重垣を」と詠んだのが、最古の和歌とされる。

 神社から北東へ2キロ離れた八雲山の中腹に、「夫婦岩」と呼ばれる大中小三つの巨岩がある奥宮がある。

 静寂な社殿や奥宮には厳粛な雰囲気が漂う。近年、若い女性を中心に参拝者が増えた。勝部和承宮司(74)は「現代人が見失った自然や、自然の力が感じられるのでは」と話した。


2013年6月24日 無断転載禁止