紙上講演 神田外語大教授 興梠一郎氏

神田外語大教授 興梠一郎氏
巨大国家・中国の現状と課題、そして日中関係

社会矛盾表面化で怒り

 山陰中央新報社の石見政経懇話会、石西政経懇話会の定例会が24、25の両日、浜田市と益田市であり、神田外語大(千葉市)の興梠(こうろぎ)一郎教授(53)が「巨大国家・中国の現状と課題、そして日中関係」と題して講演した。民衆の不満など中国の実情を紹介しながら、日本が取るべき対応を説いた。要旨は次の通り。

 中国で指導部が変わったとはいえ、私は「習近平体制」とかっこ付きで表現することにしている。(前々、前国家主席の)江沢民、胡錦濤両氏が“W院政”を敷いており、習近平氏1人では何もできない。

 その中国共産党の政権基盤は、かつてほど盤石ではない。インターネットの普及で情報封鎖ができなくなり、社会矛盾が表面化。民衆の不満が抑えられなくなっている。

 尖閣諸島の国有化で始まった反日デモも、後半は貧富の格差を背景にした略奪運動だった。地方政府の幹部が高級腕時計を着けている画像がネットに掲載され、糾弾されて解任に追い込まれる事態も発生している。習氏でさえ、妻が国産ハンドバッグを使っていることをわざわざ報道させた。

 こうした状況を踏まえれば、尖閣問題で中国側が一歩も引かない理由が分かるはず。譲歩すれば「国賊」。民衆から突き上げられる危機感は、日本が思うよりはるかに強い。

 成長モデルも揺らいでいる。環境を犠牲にした開発は民衆の怒りを買い、欧州などへの輸出に頼った成長率も減速している。こうした変化は、日本企業にとってはチャンスにもなる。拡大するマーケットにしっかり目を向けていくべきだ。

2013年6月26日 無断転載禁止