レッツ連歌(下房桃菴)・7月11日付

(挿絵・FUMI)
 さるかたから、「レッツ連歌星取表」というものを送っていただきました。今年一月から六月までの半年間、スペシャルも含めて全十四回の「レッツ」のうち、それぞれのかたが何度入選したかを一覧表にしたものです。

 それによると、最も成績のよかったのが、十二勝二敗の花田美昭さん。次いで、十一勝三敗の石川アキオさんと多胡誠夫さん。以下、十勝四敗の高木酔子さん、源瞳子さん…と続きます。とはいえ、全入選者の平均成績は四勝そこそこ。私や森露さんが意地悪しているわけではありませんが、思えば、なかなか厳しいものですね。

 「レッツ」は入選の多寡がすべてではありませんが、こういう楽しみかたもありますね。作句の励みにもなるのではないでしょうか。

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 見る人は見ているものだなと思い

ちょちょっとアンタもしやおめでた
               (松江)木村 更生

どうして分かるパンダのおめでた(松江)木村 敏子

付句のことも聞くお医者さん  (松江)余村  正

乱高下する株で儲ける     (松江)持田 高行

信号無視でまたも捕まる    (松江)庄司  豊

お巡りさんにもあったユーモア (松江)多胡 誠夫

丑三つ時のテレビ放送     (松江)本田  章

診察券を下に差し込み     (大田)大谷  勇

詰め放題に主婦の根性     (益田)吉川 洋子

服の裏地を褒めてくれたぞ  (奥出雲)松田多美子

手を引っ込めるお供えの菓子  (益田)石田 三章

掃除態度がずば抜けてよい   (松江)相見 哲雄

つぶやき過ぎて職を失い    (浜田)松井 鏡子

思いがけなく貰う勲章     (松江)岩田 正之

田んぼの脇で急ぎ用足し    (松江)永瀬 秋風

茶飲み友達だと言っただろ   (浜田)滝本 洋子

野次らないときゃ居眠りしている
              (津和野)岡田 忠良

悔しいけれどボツに納得    (浜田)勝田  艶

妻と目が合う残った饅頭    (美郷)遠藤 耕次

バット振ったと一塁塁審    (松江)川津  蛙

追っかけよくてストーカーだめ (美郷)源  瞳子

先生家でなにかあったの    (松江)田中 堂太

うかつに使えぬシルバー割引  (松江)森広 典子

ポチの散歩に袋忘れて     (江津)花田 美昭

自然の中でファーブルになる  (雲南)板垣スエ子


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 「丑三つ時のテレビ放送」といえば、大してお金をかけた番組じゃないでしょう。テレビショッピングかな。「見る人は見ているものだな」なんて、感心している人が、いちばんよく見ていたりする。

 哲雄さんの句は、通信簿でしょうか。ふだんの行動を褒められたのでしょうが、でも、なんだかウラがありそうな気もします。私も現役時代、学生が就職するとき、推薦状を書かされることがよくあったのですが、中にはこんなふうにしか書きようのない学生もいたことは事実です。

 洋子さんの「茶飲み友達」―、そんなことじゃ、なかなか納まりますまい。

 お茶ならお茶で、やっぱり家で飲んだほうがよさそうです。耕次さんの句の、なんと平和なこと!

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 そろそろ怪談の季節です。そこで今度は、

  ても恐ろしき執念じゃなあ

という、ても恐ろしき前句に、ても恐ろしき五七五を付けてください。

 ちなみに、「ても」は「さても」の転化にすぎません。が、こういうと、いかにも恐ろしく聞こえるものでしょう。

              (島根大名誉教授)

2013年7月11日 無断転載禁止

こども新聞