紙上講演 帝京大教授 志方俊之氏

帝京大教授 志方俊之氏
大丈夫か、日本の危機管理

三つの「脅威」に備えを

 山陰中央新報社の島根政経懇話会、米子境港政経クラブの定例会が30、31の両日、松江、米子市内でそれぞれ開かれた。在米日本大使館防衛担当参事官や陸上自衛隊北部方面総監などを歴任した帝京大教授の志方俊之氏(77)が「大丈夫か、日本の危機管理」と題し、日本を取り巻く脅威について解説した。要旨は次の通り。

 日本には三つの脅威がある。一つは大規模な災害や事故、テロといった「今そこにある驚異」で、東日本大震災や地下鉄サリン事件などを経験している。

 二つ目は5~10年後に起きるかもしれない中期的な時間軸で備えるべき脅威で、北朝鮮の崩壊を指す。約30万人の難民が日本海沿岸に押し寄せると予想され、自衛隊が対応した場合、全体の半数の人員が必要になる。

 7月27日に平壌で行われた軍事パレードでは、金正恩(キムジョンウン)第1書記が中国の李源潮国家副主席と並んで閲兵した。軍事だけは中国と間合いを取っていたが、新体制になり、兵器の提供など軍事部門も中国の影響下に入った。北朝鮮の軍部が黙っているかは分からない。

 三つ目は20~30年後という長期の時間軸で考えなければならない脅威で、中国の存在。経済力は世界一となり、米国と拮抗(きっこう)する軍事力を持つようになる。一方で中国国内はネット世論の形成によるデモの発生や格差の拡大など不安定要素が多い。

 こうした脅威に対応する自衛隊の今ある装備は、私が現役だった20~30年前に将来を見据えて備えたものだ。危機管理を充実させるためにも、長期的な視野で防衛力を整備せねばならないだろう。

2013年8月1日 無断転載禁止