(38)西蓮寺楼門(邑南)

金くぎを使わない工法と華麗な彫刻で「石見三門」の一つに数えられる西蓮寺の楼門
精巧な彫刻際立つ威容

 今にも動きだしそうな竜や獅子などの彫刻で豪華に飾り付けられた邑南町阿須那の西蓮寺(さいれんじ)楼門。浜田市旭町和田に住み、技術の高さから「和田の匠(たくみ)」と呼ばれた名工長山喜一郎が、江戸後期に手掛けた「石見三門」の一つ。境内の経蔵とともに町の有形文化財に指定されている。

 総ヒノキ造りの瓦ぶき2階建てで、入り母屋造り。棟高11メートル、桁行8・3メートル、梁(はり)行4・4メートルで、階下に6頭の竜と4対の獅子、鶴や雲、花、極楽鳥などの彫刻が施され、階上も竜や獅子などで華麗に飾られている。阿須那小学校横の町道を車で数分かけて上った静かな小集落で、威容がひときわ目立つ。

 浄泉寺(邑南町市木)と正蓮寺(浜田市旭町木田)の山門を合わせた石見三門の中で最も大きく、金くぎを一本も使わず仕上げられている。精巧な彫刻を間近に見ると、まさに芸術品といった趣に感嘆させられる。

 西蓮寺は1560(永禄3)年に、邑南町下口羽の琵琶甲城主、口羽通良(みちよし)が創建。17代目住職の口羽義秀(ぎしゅう)さん(59)は「門信徒や地域の方々の支えもあり、貴重な山門が残されてきた。大切に後世に継承していきたい」と話す。

 経蔵の中心にある輪蔵は、1回転させると「一切経」の教典600巻を全部読んだほどの功徳があると伝わる。推定樹齢約260年で幹回りが3メートルを超える町指定天然記念物のタラヨウの大木も境内に立つなど、見どころが多い。

2013年8月1日 無断転載禁止