(40)JR津和野駅前の「デゴイチ」(津和野)

JR津和野駅前のデゴイチ
豪雨災害の住民励ます

 山陰有数の観光地・津和野の玄関口になるJR津和野駅前(津和野町後田)に、真っ黒で重厚感あるモニュメントが展示されている。長さ19・5メートル、幅2・93メートル、高さ3・98メートル、重量69・4トン(空車)。日本の代表的蒸気機関車「D51」(愛称・デゴイチ)だ。

 1939年3月25日製造。東北本線、信越本線、高崎本線、八高線、山陽本線、山口線で使用され、73年9月30日まで定期運行した。走行距離は約205万2500キロに及ぶ。

 引退後は旧国鉄から町へ無償貸与され、町内の旧国民宿舎「青野山荘」の広場に展示されていたが、観光客の目に触れるようにと、2006年に駅前町営駐車場に移設された。以来、記念撮影ポイントとして親しまれている。

 今年は山口線全線開通90周年、デゴイチ廃車40年の節目。山口県内のSLファンらがデゴイチの汽笛を修繕し、同線の新山口―津和野間を走る「SLやまぐち号」との汽笛吹鳴の共演を計画していた。

 そんな折に発生した7月末の豪雨災害で、同線の線路は寸断され、やまぐち号は当面運行中止の事態に。汽笛吹鳴の企画を盛り込んだ「津和野SL夏まつり」の開催(8月)も危ぶまれたが、SLファンや沿線住民が「苦しい時だからこそやろうや」と決行した。

 共演はかなわなかったが、40年ぶりにこだましたデゴイチの汽笛は、沈んでいた町に元気を与えた。県内外の鉄道ファンを迎え入れる代役を務めながら、やまぐち号の帰りを静かに待っている。

2013年9月5日 無断転載禁止