山陰心象録(1) 長江干拓地(松江市打出町)

紅蓮の景観が、ムンクの名画「叫び」を連想させる美しい情景=松江市打出町から撮影
紅蓮の夕日に染まる雲

 夏の夕暮れ、松江市打出町の長江干拓地。雨上がりの宍道湖岸から西の空を見上げると、不思議な雲が張り出していた。

 紅蓮(ぐれん)の夕日に染まった雲は、見る見る色を変え、急激に赤色が増す。夕景の撮影はまさに時間との勝負。チャンスは一瞬だ。

 干拓地を黒いキャンバスに、横切る水路を斜めの構図に取り込んでみたら、どこかで見たような景色になった。ノルウェーの画家ムンクの代表作「叫び」? そんな思いが頭をよぎった。

 風景は、ほんの一瞬見せる表情に底なしの魅力を秘める。その驚きが、写真を撮る者にとっての喜びとなる。

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 山陰の気候や風土、そして人々の営みは、独特の景観を生み出す。例えば印象的な自然の風景、歴史と現代が微妙なバランスで混じり合った街のシルエット。見慣れた風景も、時間やアングルを変えると、一変することがある。山陰両県の各地を巡り、さまざまに移ろう森羅万象の“表情”を紹介する。

2013年10月8日 無断転載禁止