レッツ連歌(下房桃菴)・11月14日付

(挿絵・麦倉うさぎ)
 第1回「しまだいユーモア連歌大賞」の結果です。

 「すれすれにバス行きちがう城下町」に付けた、塩田美代子さんの「忘れた弁当もらう窓越し」が、みごと学長賞に輝きました。

 今どき、窓の開くバスも珍しいと思うのですが、それよりも、この2台のバス、いったいどんなルートで運行しているのでしょうか。考えれば考えるほど分からなくなるところが、桃菴センセのお気に召したようです。

 その他、レッツ勢からは、花田美昭さんの「切るに切られぬ堀の松の木」、それに、「沈む夕陽に叫ぶバカヤロ」に付けた、石川アキオさんの「スーさんが逝ってハマちゃん一人釣り」、水野貴美子さんの「すごいでしょ確かにしゃべるウチの犬」が優秀賞に選ばれております。

 詳しくは、当該ホームページをご覧ください。「しまだいユーモア」で検索できます。

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 燃えるよな恋も一度はしたという

庭で竹刀を振ってる爺さん   (松江)松田とらを

あらそうなのと妻焼きもせず  (松江)安東 和実

客より先に酔ってきたママ   (江津)花田 美昭

軍国乙女いまだ独身      (松江)渡部 靖子

同窓会でしぼむ風船      (美郷)芦矢 敦子

半生語る銀幕の女(ひと)   (浜田)松井 鏡子

本屋大賞ねらう処女作     (松江)岩田 正之

マユツバもののジジの自分史  (松江)花井 寛子

第二ボタンを見せる婆ちゃん  (益田)石川アキオ

聞き飽きたとは言わぬ介護士  (益田)石田 三章

後悔先に立たずともよし    (美郷)遠藤 耕次

満月の夜は忘れられない    (浜田)滝本 洋子

なんでも書ける紙とエンピツ  (雲南)板垣スエ子

その人の名が思い出せない   (松江)川津  蛙

毎回違う登場人物       (松江)山崎まるむ

腕の刺青は袖に隠して     (松江)森  笑子

今も消せないケイタイ番号   (飯南)塩田美代子

閻魔に問われボソッと答える  (松江)持田 高行

川漁師して今も独り身     (益田)吉川 洋子

文覚上人全国巡錫       (松江)木村 更生

ちぎれた耳がタマの勲章    (雲南)安部 小春

犬がお猿にホレて悪いか    (松江)田中 堂太

一杯機嫌の石部金吉      (浜田)勝田  艶

教え請う娘(こ)に老尼やさしく(出雲)原  陽子

まだ上げ初めし前髪のころ   (益田)黒田ひかり

サウイフモノニ私ハナリタイ  (松江)森広 典子


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 妻も焼かない、マユツバものの自分史―、そんなものは、紙とエンピツさえあれば、だれでも書けるわけで…。燃えるような恋も作り話であろうという句が、けっこうたくさん寄せられました。まるむさんの句は、「登場人物」ということばがおもしろいですね。

 「腕の刺青」は、言わずと知れた「だれそれ命」という類。最近は見かけなくなりましたが、やっぱり隠しておられるのでしょうか。

 『源平盛衰記』によれば、文覚(もんがく)上人は、かつて渡辺渡(わたる)の妻、袈裟(けさ)御前に横恋慕して誤ってその首を斬り落とし、これがきっかけで出家をした、とされております。

 「まだ上げ初めし前髪の」少女は、ずいぶんマセていたのですね。…とは、作者のひかりさんが、みずからお付けになったコメント。それはそうだけど、選者ノ領分侵ス可(べ)カラズ!

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 次の前句は、

 村一番のハデな電飾

 そんな光景、そろそろ見られますね。場所はどこでもよかったのですが、あえて「村」にしてみました。

 五七五の付句をお願いします。

              (島根大名誉教授)

2013年11月14日 無断転載禁止

こども新聞