紙上講演 元NHKアナウンサー 文化学園大教授 古屋和雄氏

元NHKアナウンサー 文化学園大教授 古屋和雄氏
競争社会から共生社会へ~日本人の人生哲学

分断されない夫婦像重要

 山陰中央新報社の島根政経懇話会、米子境港政経クラブの定例会が21、22の両日、松江市と米子市であり、元NHKアナウンサーで文化学園大学の古屋和雄教授(64)が「競争社会から共生社会へ~日本人の人生哲学」と題し講演。競争原理から抜け出し、仕事と家庭のバランスを考えることの大切さを説いた。要旨は次の通り。

 阪神大震災発生から半年間で、26人の被災者が自ら命を絶った、という。そのうち22人が男性で、大半が60歳前後だった。

 高度経済成長期から、職場では競争に勝つことが求められた。家庭や教育の問題を担うのは女性で、結婚しても男性は大抵会社におり、定年になると急に元気がなくなる。

 命を絶った男性は震災で家がつぶれ、働き口がなく、妻子を養えるか不安になり、仮設住宅でうつ状態になった。

 燃え尽きないよう、妻と相談しながら家庭のことも考える「分断されない夫婦像」を築くことが重要。女性の生き方を見習い、60歳からもう1回元気になるためのワーク・ライフ・バランスについて考える必要がある。

 思えば男性は仕事に生き、出来高や効率性を追求する余り、高齢者や障害者の存在、子育てや自然環境の大切さに気付かなかった。

 例えば一時増えた男性の介護福祉士は、給料が低く減少している。地域の高齢者に弁当を配ろうというような取り組みも女性から始まることが多い。私自身48歳で第1子が生まれ、食事作りは自分の仕事だ。競争や効率だけではない多様な価値観の大切さを、子育てを通じ痛感している。

2013年11月25日 無断転載禁止