(46)清水谷製錬所跡(大田)

観光客らでにぎわう清水谷製錬所跡
積み上げた石垣に名残

 世界遺産・石見銀山遺跡の清水谷製錬所跡(大田市大森町)は、さまざまな遺構が層をなす同遺跡の中で、明治期の銀生産を担った近代の遺跡。積み上げられた石垣が製錬所の名残という。

 石見銀山世界遺産センター(同町)などによると、同製錬所は、大阪の藤田組(現DOWAホールディングス)が建設し、1895年に完成。同年4月から操業を開始した。東京帝国大冶金学科を卒業した武田恭作氏が設計を手掛けた。

 良質の銀鉱石を製錬するため、当時の金額で20万円(現在の数十億円に相当)という巨費を投じて作られたという。

 しかし、鉱石の品質が予想より悪く、設備の製錬能力も十分でなかったことから不採算となり、この施設は96年10月、開始からわずか1年半で操業を停止した。

 県教育委員会が11月下旬に同町で開催した「写真撮影会」では、同製錬所跡も見どころの一つとして紹介され、市民らが歴史を感じながら思い思いの構図でとらえた。

 参加者を案内した県教委文化財課の椿真治調整監は「結局、ほとんど良好な鉱石がなかったことで停止してしまう。それ以降は銅を中心とした採掘に移っていく」と歴史の流れを説明した。

 現在、建物は残っていないが、当時の銀生産の様子をうかがわせる。

2013年12月5日 無断転載禁止