(47)コウヤマキ自生林(吉賀)

山陰で唯一、自生林が広がる吉賀町のコウヤマキ
山陰唯一群生地広がる

 日本特産の有用樹で、古来、和歌山県の高野山一帯に自生していたことから名付けられたという「コウヤマキ」。山陰では唯一、島根県吉賀町の有飯、九郎原両地区の山林にまたがるように群生地が広がる。

 群生地は1963年に「高津川総合学術調査」で取り上げられ、その後の全国的な植生図作成の過程で、自然性であることが分かった。日本の最南限にあたるとされる。

 分布する自生林約70ヘクタールのうち、県が条例に基づき保護管理や学術的利用を図る「県自然環境保全地区」(77年)に48ヘクタール、町の文化財(69年)に1ヘクタールが指定されている。

 地元では、その昔、唐の国から帰った弘法大師が村の繁栄、五穀豊穣(ほうじょう)、悪魔降伏を祈願し、種をまいたと言い伝えられている。

 材質が水に強いため、風呂おけや橋桁、柱材に利用されるほか、円すい形の立ち姿が美しく、庭木や公園木に用いられる。同町出身の彫刻家・澄川喜一さんが、東京スカイツリーのデザイン監修の参考にしたことでも知られ、スカイツリー前の広場に植樹されている。

 94年に自生林の管理棟としてできたコウヤマキギャラリー(吉賀町有飯)を指定管理する、有飯地区の住民グループ「たんぽぽの会」は毎年8月、自然観察会を実施。町内外からの参加者が解説を聞き、魅力を感じながら散策する。

 同会の実吉好子会長(63)は「自生林はこの地の宝であり、住民の誇り。活動を通して交流の輪を広げたい」と話す。

2013年12月19日 無断転載禁止