レッツ連歌(下房桃菴)・1月9日付

<2014年新春特集>


 あけましておめでとうございます。

 おかげさまで、「レッツ連歌」も二十一年目! そこで昨年に引き続き、第二〇一回から四〇〇回までの入選作の中から、特に印象に残った作品二十句を選んでみました。

 もっとも、今回は、ところどころ「虫食い」にしてあります。作品を覚えていらっしゃるかたもおいでかとは思いますが、それはいったん、ぜんぶ忘れて、それぞれの前句に、ご自身でいま句を付けるつもりで、このクイズをお楽しみいただければと存じます。

 □の中に入る字は、漢字もひらがなもカタカナもあります。ふざけた句も深刻な句もあります。

 「正解」は、次回発表することにいたしましょう。

           ◇

レッツ傑作二十選

(1)爺さまに内緒で買ったチャイナ服

□□するアルみな来るヨロシ  (木次)川本寿美子

        第二〇六回(二〇〇二・一一・二八)


(2)一つ手前で降りるバス停

あの角を曲がっただけで□□□ (松江)池田 鶴代

        第二〇八回(二〇〇二・一二・二六)


(3)芹なずな五形はこべら仏の座

□□□□□は重宝なもの    (益田)黒田ひかり

         第二一〇回(二〇〇三・二・一三)


(4)合格までの長い道のり

□に掌を心で合わす不精髭   (大田)杉原 哲也

         第二一八回(二〇〇三・六・一二)


(5)孫はせっせとボルボにワックス

□□□□にこんな山田がひっかかり

               (松江)多胡 誠夫

         第二一九回(二〇〇三・六・二六)


(6)出てこないあると言ったが出てこない

顔を見合わす□□と□□□  (東出雲)水野貴美子

         第二二五回(二〇〇三・九・二五)


(7)六万年ぶりに火星が大接近

なんか□□□□あるのンちやうか

               (浜田)岡本美代子

         第二二六回(二〇〇三・一〇・九)


(8)鶴は千年亀は万年

算数をきらいにさせた□の数  (松江)村田 欣子

          第二三二回(二〇〇四・一・八)


(9)校門脇の金次郎像

ボクたちも□□□しながら歩いてる

               (益田)石田 三章

         第二六一回(二〇〇五・三・二四)


(10)贅肉つけたうちの番犬

そんなこと言っちゃダメいい□□よ

               (松江)原  野苺

         第二八三回(二〇〇六・二・二三)


(11)わたしは知らないことになってる

もう一度□を見ようか三太夫  (川本)栂野  菊

         第二八八回(二〇〇六・五・一一)


(12)大根も見ようによっちゃ芸術品

念入りなこと□□まで付け   (出雲)佐藤まさる

         第二八九回(二〇〇六・五・二五)


(13)七夕に願いをかけるしおらしさ

おもちゃ欲しいと□□も下げ  (大田)掛戸 松美

         第二九四回(二〇〇六・八・一〇)


(14)怪談はお化けの顔もして話し

ママサン□ヲ見ルイケマセン  (松江)村田 行彦

         第二九七回(二〇〇六・九・二八)


(15)冥王星は惑星じゃない

□ばかり回っていてはダメかしら

               (大田)杉原サミヨ

        第二九八回(二〇〇六・一〇・一二)


(16)世話好きな人世話焼きの人

二人ともなぜか□□はおとなしい

               (大田)清水 すず

         第三四四回(二〇〇八・九・一一)


(17)口の中でとろけるほどのやわらかさ

□□□□□□は長崎名産    (松江)安東 和実

         第三六二回(二〇〇九・六・一一)


(18)人形の髪が伸びるという噂

□□□とポツリうちの父ちゃん (米子)佐々木浩子

         第三六八回(二〇〇九・九・一〇)


(19)信念を曲げずひたすらつき進み

出口でつかまる□□□□    (松江)小豆澤悦子

         第三七九回(二〇一〇・二・二五)


(20)古里行きの汽車に飛び乗る

万一のために□□も用意して  (松江)木村 敏子

        第三九七回(二〇一〇・一一・二五)


 市町村名は掲載当時のまま、お名前も、その後ペンネームを付けられたかたなどいらっしゃいますが、元のとおりにしてあります。ご了承ください。

           ◇

 天狗になった初夢を見る

富士山を雲の上から見下ろして (松江)森広 典子

ふさふさの髪だったんだ嘘じゃない
               (出雲)矢田カズエ

また鼻をつままれている大いびき(出雲)黒田千華子

碁仇を次々みんな打ち負かし  (松江)松田とらを

書き初めが学級一人貼り出され (大田)大谷  勇

羽伸ばし鼻天に向け大いびき  (益田)小倉  豊

高下駄で吉兆さんの露払い   (江津)花田 美昭

高下駄で富士を一気に駆け上り (浜田)松井 鏡子

現実は例の岩場でザコばかり  (松江)花井 寛子

爺からは自省の年と諭されて  (浜田)大井 一弥

当たったとだれにも言えぬジャンボくじ
               (江津)江藤  清

羽団扇の店をネットでまず探し (益田)石田 三章

おだてられマイク放さぬ忘年会 (松江)余村  正

ママさんの膝を枕に除夜の鐘  (浜田)勝田  艶

オイ君と社長呼びつけ覚めた朝 (松江)杉本 末吉

七億円子孫曾孫に分配し    (松江)吉田 篤子

冷えきった鼻の先から水っ洟  (松江)木村 更生

大空を飛んでなまめく年女   (松江)福田 町子

富士山も鷹もなすびも叶わない (益田)山下 昭子

カラコロと松江大橋闊歩して  (松江)渡部 靖子

生きてまたオリンピックの晴れ舞台
               (松江)黒﨑 行雄

高額で売れ蔵建てる馬の市   (松江)野津 重夫

ウソをつくたび少しずつ鼻が伸び(益田)黒田ひかり

いたずらが過ぎてピノキオ鼻折られ
               (松江)金津  功

清水の大舞台から飛び上がり  (出雲)放ヒサユキ

五輪史の記録に残るハイジャンプ(浜田)三隅  彰

羽団扇で不景気風を吹っ飛ばし (雲南)難波紀久子

国会を思いのままに操って   (益田)吉川 洋子

じいちゃんに晋ちゃん顔も似てきたネ
               (松江)中西 隆三

どうせならクレオパトラのほうがよい
               (松江)高木 酔子

俺なんざひょっとこだぜぇコンチクショー
               (松江)山﨑まるむ

モヤモヤも晴れて体も軽くなり (大田)柴 わん子

みんなから腰は低くと諭されて (雲南)横山 一稔

ジャンボくじ枕の下に敷いたまま(出雲)石飛 富夫

鼻の差で金メダル取るソチ五輪 (美郷)源  瞳子

四次元の選者つとめて妻を越し (美郷)源  連城

奥山で修業途中で眠りこけ   (松江)持田 高行

神通力試す梯子を女房とめ   (益田)可部 章二

押し寄せる報道陣にピースして (松江)森  笑子

鼻糞をほじくるのにも一苦労  (出雲)吾郷 寿海

新座者古参押さえて入選し   (江津)星野 正子

一輪車乗れぬ大人は馬鹿にされ (江津)星野 礼佑

好物の雑煮なんだか食べづらく (松江)岩田 正之

かみさんが三つ指ついて春迎え (美郷)吉田 重美

四〇〇キロ鼻を伸ばして宇宙基地(美郷)遠藤 耕次

列島を見下ろしているお正月  (松江)田中 堂太

懲りもせず酔いつぶれてる三が日(川本)光田モトヱ

大物が釣れて父さん恵比須顔  (雲南)板垣スエ子

裏山でカラスしつこく鳴いている(浜田)滝本 洋子

弱い者いじめるやつは許さない (大田)杉原サミヨ

勘ぐって妬く女房に手を焼いて (松江)三島 啓克

彦一にまんまと隠れ蓑取られ  (松江)庄司  豊

目が覚めてあちこち探す隠れ蓑 (大田)掛戸 松美

おもてなし受けてた知事を一睨み(益田)石川アキオ

宝船枕の下に敷いたはず    (松江)木村 敏子

高い鼻ポキッと折られて泣いちょった
              (奥出雲)松田多美子

国会で嘘がつけない術をかけ (津和野)岡田 忠良

目をこすり鏡を見れば団子鼻  (安来)根来 正幸

元々の自分の顔も悪くない   (美郷)芦矢 敦子

今でしょとカリスマ講師おだて上げ
               (江津)岡本美津子

有力な対抗馬だと期待され   (松江)川津  蛙

入賞の大作を背にインタビュー (益田)竹内 良子

富士山もスカイツリーも一っ飛び(大田)福田 葉摘

あんたたち私を越える自信ある (松江)尾原ヨウコ

かわいいッとギャルに囲まれ目を回し
               (飯南)塩田美代子

掌で妻の転がるおもしろさ   (江津)野坂 和子

床の間に八つ手一枝活けてあり (出雲)原  陽子


           ◇

 まったくの新人がベテランに挑んだり、あるいは、圧倒されていた相手を追い抜こうというバトルが、今年はどうやらご夫婦の間でも、果敢に展開されそうな形勢!(連歌はフィクションとはいうものの、ついつい本音が出てしまう、というのもおもしろいですね)うれしいことです。

 これまでにも、親や子や兄弟姉妹、趣味の仲間や職場の同僚まで、この世界に引きずり込んだり込まれたり、そういう例を、実は私はいっぱい聞き知っております。

 知り合いの知り合いの知り合い…とたどっていくと、わずか数人を経るだけで、世の中のだれとでもつながり得る、という研究成果もあります。

           ◇

 というわけで、次の前句は、

  あしたはなんの日だか知ってる

 「知ってる」は、私は「知ってる?」のつもりなのですが、クエスチョンマークなどは、この世界ではあまり使いませんので、省略しました。もっとも、「知ってるヨ」という意味に取っていただいても、いっこう差し支えございません。

 この付句をご紹介する日の翌日が、ちょうどバレンタインデーに当たりますが、そのことも意識されようと無視されようと、もちろんご随意に。

 お知り合いにも呼び掛けていただいて、楽しい五七五をいっぱいお寄せくださいますよう、お願い申しあげます。

                (島根大名誉教授)

2014年1月9日 無断転載禁止

こども新聞