石見・石西 「2014年 日本経済の行方」

  なるか デフレ脱却

    正念場迎えるアベノミクス



   講 師  新保 恵志氏(東海大学教養学部教授)

   演 題  「2014年 日本経済の行方」



 山陰中央新報社の「石見政経懇話会」「石西政経懇話会」は平成26年2月12日(水)・13日(木)に定例会を開催します。今回は、東海大学教養学部教授の新保恵志(しんぼ・けいし)氏を講師に迎え、「2014年 日本経済の行方」と題して講演してもらいます。


 アベノミクス2年目。安倍首相は通常国会施政方針演説で「経済の好循環によりデフレ脱却を目指す」とし、「景気回復の実感を全国津々浦々まで届けよう」と強調した。そのために、政府・経済界・労働界が一体となって賃金上昇に取り組むべきだ、との持論を展開した。

 円安・株高に象徴される国内景気は「緩やかな回復」を続けている。1月の日銀・金融政策決定会合では、4月の消費税増税後も回復は持続し、2014年度から15年度にかけて2%の物価上昇目標を達成する可能性を示した。IMFの世界経済見通しでも、2014年の日本の実質経済成長率を1.7%と強気に見込んだ。消費税率引き上げが景気を抑制するが、経済政策の実行で成長を押し上げると分析している。

 経済見通しなど各種の経済指標は軒並み改善が報告されているが、肝心の足元経済はどうか。黒田総裁は「住宅・自動車などで増税前の駆け込み需要がみられ、国内景気は幅広い分野で改善の兆しがある」としている。大型店の新年初売りも好調に推移したようだ。

 問題は増税後の新年度だ。5.5兆円の補正予算、住宅ローン控除の拡充など財政出動によるカンフル効果は長続きせず、最終的にデフレ脱却の推進役を担うのは個人消費だ。そのためには企業の賃上げがそのカギを握る。安倍首相は、賃金引き上げにより、民間主導の経済成長を狙うが、もし景気の腰折れとなればアベノミクスにとっては大打撃だ。

 トヨタ労組は春闘交渉でベースアップ4000円を要求する方向といわれ、ホンダ、マツダ労組もベア要求3500円を決めた。ベア要求は09年以来5年ぶり、ベアが実現すれば6年ぶりとなる。春闘相場づくりに大きな影響力をもつだけに、各業界の動向が注目される。

 一方、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉は越年した。高齢化進展で国内市場が先細る日本再興の切り札というが、参加国との一致点をどこに求めるか、それは日本の国益にかなうのか。農産物(重要5品目)や自動車は日米二国間で歩調が合わず、また新興国との対立も浮き彫りとなっている。4月にも予定されるオバマ大統領訪日が大きなヤマ場となりそうだ。

 今回の講師・新保恵志氏は日本経済研究センターで「日本経済の長期予測分析」を、また住友信託銀行では「経済分析(景気動向、金利動向)並びに金融分析(株価動向、証券分析)」を担当したスペシャリスト。安倍政権にとって正念場が続く2014年をどう見るか。新保氏の分析にご期待下さい。   (事務局長 友定雅紀)


 <新保恵志氏のプロフィール>

  1978(昭和53)年、一橋大学経済学部卒。日本開発銀行(現日本政策投資銀行)入行、福岡支店を経て、82年日本経済研究センター出向。88年住友信託銀行調査部に移り、主に証券分析を担当。97年東海大教養学部助教授、2002年より現職。日本経済、金融・証券分析に詳しい。著書に「転換社債・ワラント債入門」「デリバディブ」「金融商品とどうつき合うか」など。石川県出身、58歳。

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2014年1月31日 無断転載禁止