映画プロデューサーのささやかな日常(1)

映画「ひまわりと子犬の7日間」の一場面。中谷美紀(左)と堺雅人(©2013「ひまわりと子犬の7日間」製作委員会)
 もうそろそろ帰っていいでしょうか?

         製作進む中 何度も会議

 映画にまつわるあれやこれやを書いてみませんか、と山陰中央新報さんから光栄な依頼を受けました。とはいえ、物書きをなりわいとしている身ではなく、つたない文章ですが、しばらくの間どうぞよろしくお願いいたします。

 第1回ということで、まずは自己紹介を。そもそも映画プロデューサーとは、どういう職業なのか? まずは映画に関わる職種についてご説明しましょう。

 監督や脚本家、スタッフ、出演者はそれぞれの持つ技術を最大限に発揮する“スペシャリスト”。また、さまざまな会社が映画製作には関わっていますが、「製作委員会」と書かれているのは、映画に出資しリターンを求める“投資者”。各企業はそれぞれに得意な分野で宣伝活動を行い、映画をヒットに導く役割をもって参加し、映画会社はその中心になって宣伝と営業活動を行います。

 そんな中で、映画プロデューサーの役割は、というと、まずはどんな内容の映画を作り、誰に届けるのか、という大きな全体図を描くことから始まり、その後の映画製作から公開にかけての現場を束ね、すべてに立ち会うことになります。

 現在公開中の映画「ひまわりと子犬の7日間」は、「母犬と保健所の職員さんの実話を映画にできないだろうか?」と僕らプロデューサー陣が最初にアイデアの種を作りました。その後、お声がけをして集まっていただいた脚本家や監督、俳優たちの力を結集し、さまざまな意見を交換し、練り上げ、作品が形作られていきました。今回は、特に堺雅人さんや若林正恭さんの組み合わせ、平松恵美子さんという女性監督のデビューという、僕たちプロデューサーの基本アイデアを最初に立て、時間をかけて実現していきました。

 そうして製作が進む中、プロデューサーはさまざまな会議に顔をだし、「そこんとこ大丈夫でしょうか?」とそれとなくつっこみを入れ、改善できる部分があれば指摘し、修正していきます。宣伝部や営業部が侃々諤々(かんかんがくがく)、熱い議論をしている中でちょこんと座って、分かったような顔をしていることもあります。正直、あまりに会議が多すぎて実際のところ、心の中では「もうそろそろ帰っていいでしょうか?」と思っていたりすることも…。あ、紙数が尽きました。続きは次回に。

 (松竹映像本部 映画プロデューサー・石塚慶生)

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 いしづか・よしたか 1969年、米子市生まれ。米子東高校、早稲田大学を卒業後、テレビコマーシャルの映像制作に関わる。2003年に松竹入社。映画プロデューサーとして「子ぎつねヘレン」、実写版「ゲゲゲの鬼太郎(シリーズ2作)」などを手掛ける。「わが母の記」はモントリオール世界映画祭で審査員グランプリ、日本アカデミー賞の12部門で優秀賞を受賞。「ひまわりと子犬の7日間」が公開中。「はじまりのみち」「武士の献立」がことし公開予定。

2014年2月7日 無断転載禁止