島根中央高校 世界遺産・地域伝統守る

しまちゅう
 島根中央高校では、自分も他人も尊重し、ともに学び、ともに生きることのできる生徒を育てることを目標にしています。そして、一人一人が自分の夢を見つけ、郷土の自然や文化を学び、勤労の意義と価値を認識して、社会と豊かな関係を築いていくことができるように、特色あるカリキュラムを用意しています。

 島根中央高校はまた、普通科総合選択制を採用しており、弾力的な科目選択を可能にしています。2年生から各自の進路に合わせてコースを選択しますが、さらに、所属するコースの枠を超えて自由選択科目を興味・関心・進路などに応じて選択できますので、一人一人の個性に応じた学習ができるのが魅力です。

 大学進学等を目指して実力を磨く自然科学・人文科学コースの授業も充実していますが、一方で商業系の資格取得や地域振興に有用な人材育成を目指す現代ビジネス・地域創造コースでは、「生涯学習(愛称まちキャン)」や「ふるさと学」という学校設定教科にも力を入れています。どちらも地域の協力を得て、実習を中心とした体験学習を行い、社会人力の向上を図ることが狙いです。

 また、体育系・文化系合わせて16の部活動があり、多くの部の中から自分の興味ある活動を選択できるのも魅力です。そのため、部活動の加入率も90%近くを維持しています。さらに、生徒会や家庭クラブ活動も活発で、各方面からの依頼を受けて地域に出かける活動を展開しています。

 中山間地にある島根中央高校だからこそできること…。私たちの活動の一端をご紹介しましょう。



石見銀山保全活動として、生い茂った竹の伐採作業に取り組む生徒たち
山陰初ユネスコスクール 竹伐採銀山の景観保全

 島根中央高校は2012年の1月、山陰で唯一、正式に「ユネスコスクール」に認定されました。ふるさと学や生徒会、家庭クラブなどの地域に根差した学習や活動が評価された結果だと思います。

 ユネスコスクールとしての学習には五つの基本分野がありますが、島根中央高では特に世界遺産や地域の文化財等に関する教育の分野を推進しています。

 特に主眼を置いている持続可能な開発のための教育(ESD)は、私たちとその子孫たちがこの地球で生きていくことを困難にするような問題について考え、立ち向かい、解決するための学びです。

 ESDの実践には「人格の発達や、自律心、判断力、責任感などの人間性を育むこと」「他人との関係性、社会との関係性、自然環境との関係性を認識し、関わり、つながりを尊重できる個人を育むこと」を必要とします。そのための育成プログラムを島根中央高校では考えています。


 昨年4月23日、地域創造コース・現代ビジネスコースの2、3年生66人が、銀山保全活動のために石見銀山本谷地区に出かけました。

 スクールバスで山道を揺られること30分、現地で大田市教育委員会や世界遺産センターの職員の方、石見銀山ガイドの会やNPO法人水と緑の連絡会議の方々とあいさつを交わし、いざ山登り開始。やっと中腹の大久保間歩までたどり着いたらもうへとへと。さらに活動場所の釜谷間歩まで歩く歩く。

 到着後は休む間もなく班ごとの打ち合わせ。現場には枯死したり、伐採後に積み残されたりした竹が世界遺産の景観を損ねています。ケガをしないように注意事項を確認した後、作業開始です。

 男子は主に竹の切り出し。のこぎりを使ってどんどん切り倒します。女子は廃品の鉄パイプを使って、切り出された竹の枝落としをします。作業は順調に進み、見る見るうちに茂みがなくなり、視界も開け、辺りはすっかり明るくなりました。

 仕上げは切り出した竹の山おろし。全員が山道に1列になり、上から送られてくる切り出された竹をリレーします。腕もだんだん疲れてきて、太い竹が回ってくると、気持ちもくじけそうになりましたが、何とか最後まで運び切りました。

 午前中いっぱいの作業で、学校に帰るとみんなくたくたになっていましたが、自分たちの働きで世界遺産が守られていると思うと、なんだか気分もよくなります。遺跡に割り込んで繁茂する竹との闘いはこれからも続くと思いますが、私たちの“しまちゅう魂”は負けません。これからも後輩たちが頑張ってくれると思います。

(梅田光希)



地域を体験学習の場に

デイサービスの運動会を一緒に楽しむ生徒たち
生涯学習(まちキャン)

 新教育課程の開始に伴って、島根中央高校2年生の現代ビジネス・地域創造コースに、本年度から週2時間の「生涯学習(愛称・まちキャン)」が始まりました。私たちは毎週金曜日の午後、町内の18事業所で2時間の活動を行っています。

 1~3人の班で病院や福祉施設、小学校や町役場、商業施設などに出かけて行き、頼まれた仕事はもちろん、私たち自ら考えて、お手伝いできることは何でもやっています。

 最初はサービスを受ける方々に迷惑をかけたり、損失をもたらすようなことをしないように緊張しましたが、どの事業所も温かい目で私たちを見守ってくださり、今ではすっかり周囲に溶け込んで行動できるようになりました。あいさつなどのマナーも身に付いたと思います。

 実習は1月で終了し、これまで学んだ成果をまとめて、2月に大勢の人々の前で発表する予定になっています。私たちの成長ぶりを認めてもらえるように頑張りたいと思います。

(泉 幸輔)


ふるさと学

 「ふるさと学」は地域創造コースの教育活動の目玉として、本校開校当初から設置された教科です。

 地域社会の問題は今や日本社会全体の問題であり、地域社会に貢献するために必要な基礎的知識や技術、態度を養うことを目標にしているこの教科は、私たち全てに必要です。そのため、現代ビジネスコース選択者にも開講されるようになり、今ではコースの枠を超えて授業が実施されるようになりました。

 2年生は週2時間を活用して、石見銀山保全活動や中山間地域研究センターでの体験学習を行います。また、島根県の地理や歴史・文化についての学習や、「ふるさと研究」といって、美郷町や川本町の各事業所でフィールドワークを行い、その調査内容を県のホームページ「マップonしまね」に掲載したりします。また、「ふるさと講演」でいろいろな分野の専門家から楽しい話を聴く時間もあります。

 3年生になると、週1時間を活用した、ふるさとの民話学習、カヌー体験、水族館見学、英語によるふるさと紹介、江川太鼓体験などの面白そうな企画が私たちを待っています。今から楽しみにしています。

(才木 邑佳)



全国大会演奏前に「頑張るぞ!!」と気勢を上げる吹奏楽部部員たち
活発な部活動 全国で活躍も

 島根中央高校にはたくさんの部活動があり、みんな熱心に活動しています。

 県の強豪校の一角を担う野球部は部員数47人で、校内最大の部活動。誰もが大声を出して元気よくプレーする練習風景は圧巻です。また、本年度の東京国体女子カヤックシングル200メートルで第3位入賞を果たした寺本ななみさんがいるカヌー部も、江の川という練習環境に恵まれた中央高校ならではの部活動です。

 最後に昨年11月に東京の文京シビックホールで開催された「日本管楽合奏コンテスト」に見事県代表として出場を果たした吹奏楽部を紹介します。

 一時期部員が少なく、寂しい状況がありましたが、今では多くの仲間が増え、総勢21人でこの全国コンテスト出場を勝ち取りました。このことは私たちにとって本当にうれしい出来事でした。

 全国大会での演奏には審査員の先生方からも「整然とした響きと一体感のある音楽作りで感動的」「各セクションのアンサンブル表現がとても音楽的」など高く評価していただきました。

 目標の最優秀賞には届きませんでしたが、また全員で必ず出場するんだという決意で毎日頑張っています。これからも応援よろしくお願いします。

(日高夏海)



「しまちゅうフェアin美郷」でカフェを開設、奮闘する家庭クラブ
課外で引っ張りだこ 生徒会家庭クラブ

 島根中央高校の生徒会や家庭クラブはあちこちから引っ張りだこ。学園祭やオープンスクールでの活動の中心になるのはもちろんのこと、本年度は川本・美郷両町の産業祭やイベントへの参加、さらには三瓶や桜江、瑞穂の方まで出かけることもありました。

 生徒会は何でもできるパフォーマンスの高さが売り。12月の川本町イルミネーション点灯式ではサンタにふんしてダンスも披露、子どもたちも大喜びでした。

 家庭クラブは調理上手。ケーキ、クッキー、ワッフルなど。特産エゴマを使った小龍包(しょうろんぽう)はどこでもすぐに完売です。ぜひとも一度、お試しあれ!

 (原田 茜、大利七海)



2年生が作成した「ふるさと研究新聞」
「ふるさと研究新聞」製作 NIE

 島根中央高校は本年度からNIE実践指定校になりました。

 3年生の各クラスでは、日直が学級日誌に新聞記事をスクラップして解説や感想を論述する学習が始まりました。また、どの教科でも新聞を活用した授業が公開されるようになりました。

 私が勉強している2年生の「ふるさと学」でも、2学期に新聞作りがありました。地域のいろいろな事業所で取材をお願いし、「ふるさと研究新聞」にまとめる学習です。そのために、山陰中央新報社の記者さんをお招きして、新聞づくりのノウハウを学ぶ授業も受けました。作り始めると意外に楽しくて没頭してしまいました。

(林 詩織)



編集後記

 この『青春はつらつ新聞』制作の企画が回ってきた時、できるかどうかとても心配でしたが、こうして完成することができました。

 取材を行いながら、島根中央高校は多くの活動に生徒と先生方が一体になって取り組んでいるということをあらためて感じました。記事を書く時にも多くの内容があって、どこを削っていいか迷いました。

 今回の新聞で取り上げることができなかった「しまちゅうステーション(JR石見川本駅前の島根中央高校アンテナハウス)」での月1回の社会人セミナーや、しまちゅうクラブの活動。約60人が共同で生活し、「そうめん流し」や「地元食材の学習会」も開かれる江風寮。しまちゅう応援団の「kotonoha」が駆けつけ、地元の方々も出店して盛り上がる文化祭と体育祭。まだまだ、紹介したかった魅力がいっぱいです。

 最後に、今回の紙面作りをはじめ、島根中央高校を応援してくださっている全ての方々に心から感謝申し上げます。

 (青葉美尋、井手彩香、飯田あや、佐々岡美帆)

2014年2月10日 無断転載禁止

こども新聞