紙上講演 東海大教授 新保恵志氏

東海大教授 新保恵志氏
2014年日本経済の行方

鍵握る大胆な規制緩和

 山陰中央新報社の石見政経懇話会、石西政経懇話会の定例会が12、13の両日、浜田市と益田市内であり、東海大教養学部教授の新保恵志氏(58)が「2014年 日本経済の行方」と題し講演した。景気の見通しについては、成長戦略で規制緩和を大胆に進められるかどうかが成長の鍵を握ると強調した。要旨は次の通り。

 国内の消費者物価指数など足元の数字を見ると、アベノミクスの効果でデフレ脱却に向かいつつあるようだ。

 ただ、これまでの景気回復のパターンだった、輸出の増加に引っ張られて設備投資が伸びていく状況にはなく、経済成長のけん引役が見当たらないのが実情。下支えしているのは、東北の復興需要を中心とした公共投資だ。

 アベノミクスの「第3の矢」とされる成長戦略は、医療、介護、保育、農業に代表される「岩盤規制」には踏み込めていない。

 農業が国内総生産(GDP)に占める割合は1980年の12%から、2010年は5%まで下がっている。保護されてきた産業が弱体化することは統計上からも明らかで、規制緩和による競争の促進は欠かせない。

 消費税率の引き上げが消費に与える影響は限定的だろう。一方で、消費を支えるだけの賃金の伸びは期待できず、政府が掲げる名目成長率3%の目標達成は厳しい状況にある。

 金融市場の最大の関心は、増税による増収分の使い道だ。仮に、財政再建に取り組む意思がないと海外投資家に判断されれば、たちまち国債が暴落する危険性があることを、われわれは肝に銘じておかなければならない。

2014年2月14日 無断転載禁止