横田高「だんだんカンパニー」 4年目を迎え新たな工夫も

 島根県立横田高等学校の「だんだんカンパニー」(社長・陶山浩正校長)は、平成25年度2年生I類型クラス66人が社員となった。地域貢献・活性化を目標にし、前年度までの東京販売に加え、本年度から新たにブルーベリージャムの地元販売を始めた。

 奥出雲産のブルーベリーの収穫や製造、さらにブルーベリージャムの販売を通し、社員自ら商品化の流れや販売までの過程を体験した。

 社内は、経理部・販売部・企画宣伝部・市場調査部・デザイン部の五つの部に組織され、昨年10月15、16日に、「にほんばし島根館」(東京都中央区日本橋室町)と「IPS池袋こだわりや」(東京都豊島区南池袋1丁目)での販売に向けて、各部良い商品をお客さまに届けるため、社員としての役割を果たし、努力を重ねた。


ブルーベリージャムの東京販売で試食を呼び掛ける生徒=東京都豊島区・IPS池袋こだわりや
地元でもジャム販売開始 奥出雲産ブルーベリー使用

 過去2年はキビ糖を使用してブルーベリージャムを製造していたが、本年度から新たに甜菜糖(てんさいとう)を使用した。甜菜糖にはミネラルやオリゴ糖が含まれており、美容にも健康にもよいとして注目されている。販売する際に試食した人々から「甜菜糖で作ったブルーベリージャムは、キビ糖よりも甘さが控えめでおいしい」と好評だった。

 過去3年、販売で実現できなかったブルーベリージャムの地元販売が本年度からスタートした。これまでは東京での販売を主なターゲットとしていたこともあり、地元では少数の残瓶を販売するにとどまっていた。本年度は企画宣伝部の提案もあり、製造の際に東京で販売するブルーベリージャムと、地元で販売するブルーベリージャムの本数を事前に設定することによって、本格的な地元販売が可能となった。

ブルーベリージャムの完成品。本年度からラベルも一新した
 地元では昨年11月3日に商工祭(奥出雲町商工会が主体となって行う催し)で43本のブルーベリージャムを販売。11月16日に横田蔵市店でも40本の販売を行い、計83本を販売した。

 商工祭の当日はあいにくの雨で客足は伸びなかったが、社員たちの笑顔や「ブルーベリージャムいかがですか」といった声、加えてブルーベリージャムの特徴や商品の詳細が書かれた看板による宣伝、東京販売で学んだ経験を生かし、完売することができた。

IPS池袋こだわりやでブルーベリージャムの試食を呼び掛ける生徒
 社員たちは、自ら製造したブルーベリージャムを地元の方に食べてもらえることへの喜びや、完売への達成感を感じることができた。そして、「だんだんカンパニー」の活動を通じて収穫から販売までの一連の流れを経験し、仮想会社ではあるが実社会の仕組みを学ぶことができた。

 東京販売に行くまでは商品をお客さまに手に取ってもらえるか不安だったが、社員たちの慣れない宣伝や声掛けに興味を示してくださったお客さまや、試食をして「今まで食べてきたブルーベリージャムの中で一番おいしい」と笑顔で言ってくださったお客さまの言葉に励まされながら、社員一人一人が充実した時間を過ごすことができた。社員にとって将来の視野を広げる良い経験となった。



コンサルティング会社の山内祥弘さんを講師に招き、社会の組織や運営について学ぶ生徒たち
会社の組織や運営学習 将来の視野広げる

 普通科の高校で製造・販売活動を行うところは珍しいが、横田高校ではブルーベリージャムの製造・販売を通して、「地域の活性化に将来関わる人材を育てる」「職業に対する関心を高める」「実社会を体験し、世の中の仕組みを知る」ことを目的としている。

 単に、ブルーベリージャムを製造・販売するだけではなく、コンサルティング会社を設立した実務家の山内祥弘さんを講師に招き、社員は会社の組織や運営についても学んだ。各部門別に活動することにより、より社会貢献能力や適応力を養い、将来を担う人材となるべく努力を重ねた。



ブルーベリージャムを製造する生徒たち
収穫・製造・加工作業 甜菜糖に変え甘さ調整

 「だんだんカンパニー」のスタートとして、社員である生徒自らがブルーベリーの収穫を行った。本年度は天候の影響で実りが悪く、収穫量が心配だったが、「株式会社美田」、地元など多くの方々の協力のもと、昨年度よりも多く収穫することができた。

 そして、昨年7月末にブルーベリージャム作りに詳しい地元団体の方々(ジャムジャムクラブ)に指導していただきながら、ジャムの製造・加工作業を行った。

 製造作業では、ブルーベリーのヘタを取り除きながら混ぜることと、甘くなりすぎないよう随時糖度を40度に保つよう注意して作業を進めた。さらに瓶の中にブルーベリージャムを注ぐ際、量を均一にすることにも苦戦した。

 ブルーベリージャム作りは暑い中、3日間にわたって行われた。社員は実際の製造過程や作業を経験し、ブルーベリージャムの瓶の煮沸消毒といったような、細部まで注意を払わなければならない責任感や、安全性の確保の重要さをあらためて感じることができた。

 社員一人一人がそれぞれ役割を果たし、甜菜糖を使った美容と健康にいいブルーベリージャムが完成した。


ブルーベリージャムの瓶詰め作業
555本完売売上額41万円

 「だんだんカンパニー」が昨年10月15、16日の東京販売で売り上げたブルーベリージャムの本数は472本。また、地元での販売分などを合わせると、総売上本数は555本、総売上金額は41万5千円だった。

 昨年度は500本を販売し、30万円の売り上げだったのに対し、販売本数は約1・1倍、売上高は約1・4倍に伸ばせた。東京販売の日は首都圏に台風が直撃し、販売時間の客足が大変少なかった。そのような中でも一人一人が一生懸命に接客した。

 後日行った地元販売では、東京での経験を生かして積極的に販売し、目標だった555本を完売することができた。



先生にインタビュー

さまざまな食品に合う だんだん販売が強気に

 過去2回、「だんだんカンパニー」に携わってこられた先生方にインタビューした。

 Q 甜菜糖を使った本年度のブルーベリージャムの味は、これまでのものと比べてどうでしたか?

 A 「さっぱりしており、甘みが残っている」

   「ブルーベリーの粒の食感が残っていた」

 Q 市販のものとの違いはありましたか?

 A 「市販のものより体に良い甘さがした」

   「ブルーベリーの味が濃いので、さまざまな食品に合わせやすい」

 Q 従来とは傾向を一新したデザインや、価格750円(昨年度よりも50円アップした)についてどう思いましたか?

 A 「ラベルはリピーターがついてきているので、担当者の個性で刷新した方がいいと思う」

   「値段は島根では高いが、東京では適当な値段だ。だんだん販売が強気になってきている」

 Q 来年やってほしいことについては?

 A 「奥出雲の名産を使い、少人数で新たな商品を開発してほしい」

   「商品の良さがもっと伝わるように、売り方の工夫を今年以上にやってほしい」

   「奥出雲の生徒なら小そばを打ってほしい」

   「会社だから、生産するだけでなく、情報発信、地域にもっと貢献するなど新たなチャレンジをしてほしい」


 新しく何かに挑戦してほしいという意見が多かった。



「青春はつらつ新聞」を編集したメンバー
編集後記

 このたび新聞を作成するにあたっては、初めての作業で分からないことも多くて戸惑いましたが、協力して無事完成させることができました。

 「だんだんカンパニー」の活動を通して実社会を学ぶという貴重な体験ができたのは、収穫から販売までを支えてくださった地域の方々や先生方のおかげです。

 後輩たちにも私たちが活動してきたことを伝えて、来年度もより良いものにしてほしいと思います。そして、少しでも多くの方に「だんだんカンパニー」の活動を知っていただけたらうれしいです。これからも横田高校と「だんだんカンパニー」をよろしくお願いします。(米田理人、藤原美穂、木村満美、高田侑果、石原ゆい)

2014年2月27日 無断転載禁止

こども新聞