紙上講演 笹川平和財団理事長 高木雄次氏

笹川平和財団理事長 高木雄次氏
エネルギーと環境の成長戦略

多様なエネ源確保を

 山陰中央新報社の島根政経懇話会、米子境港政経クラブの定例会が24、25の両日、松江、米子両市内であり、笹川平和財団理事長の高木雄次氏(65)が「エネルギーと環境の成長戦略」と題して講演した。地域の電力需要を再生可能エネルギーなどで賄う「地産地消」の取り組みを紹介し、多様なエネルギー源を確保することの大切さを説いた。要旨は次の通り。

 東日本大震災によって一つの電力源への過度の依存は厳しいと分かった。日本は原油・天然ガスの8割を中東に依存している。中東情勢の不安定さと原発問題が、日本のエネルギー供給力をますますぜい弱化させている。

 中東への依存からの脱却は世界的なテーマだ。原油価格が高止まりし、再生可能エネルギーを投入しなければ、未来はより深刻だ。米国は「グリーン・ニューディール(再生可能エネルギーの開発などへ公共投資する政策)」という新しい経済成長シナリオを提唱したが、成果は上がっていない。

 日本の目標は、主要国の中で最低の4%にとどまっているエネルギー自給率の向上だ。各地で地域版のグリーン・ニューディールの取り組みが進められており、北海道稚内市は、市内の電力需要の7割が風力発電によって賄われている。

 海洋大国であるだけに、メタンハイドレートや波力、海流のほか、地熱も注目されるが、政府の支援がなければ開発が成り立たないのが問題だ。いずれも時間とコストがかかる。短期的には生活意識を変えることが大切。節電が新たな電力を生む。

 環境は成長戦略の大きな柱だ。世界は間違いなく低炭素社会になる。背を向けた人は敗者に、積極的に取り組む人が勝者になる。環境技術を生かして商品や市場を作ることは日本のお家芸であり、チャンスはある。

2014年3月26日 無断転載禁止