レッツ連歌(下房桃菴)・4月24日付

(挿絵・麦倉うさぎ)
◎コンビニの前ウロウロと往き来して

じいチャンやっぱり孫が心配  (松江)花井 寛子

バイト始めたわが子見守り   (松江)植田 延裕

立ち読みできぬ雑誌が買いたい (松江)川津  蛙


◎今晩のおかずは何にしようかな

値引きシールにばかり目が行き (大田)掛戸 松美


◎根拠ないうわさ話だ気にするな

井戸の周りにかみさん連中   (松江)持田 高行

ずさんな帳簿ルーズな貸し借り (出雲)矢田カズエ

コメントさらり官房長官   (津和野)岡田 忠良

校庭走るという金次郎     (出雲)黒田千華子


◎もういいと悪魔の声がささやいて

アダムは知恵の木の実食いけり (松江)庄司  豊

じっと見ている小野道風    (益田)中島 茂代


◎麹漬けスルメが大の好物で

宅配便にすきまなく詰め    (松江)福田 町子

路地を入るとすぐ分かります  (益田)石田 三章

もうすぐ父の命日が来る    (松江)中村 清子


◎卒業を祝ってくれた家主さん

孫もいっしょにケーキいただき (浜田)滝本 洋子

忘れられないお粥と梅干    (出雲)飯塚猫の子


◎仲直りいつかできると信じてい

積極的な平和主義だし     (益田)吉川 洋子

官邸で食うキムチピリ辛    (雲南)安部 小春


◎ウグイスが野良に出る日を告げに来て

おとぅは帰る出稼ぎの村  (出雲)はなやのおきな


◎あの人もついに息子に引き取られ

顔は知らぬがレッツのライバル (浜田)勝田  艶

活動家だった姿まざまざ    (川本)高砂瀬喜美


◎まかしとけ全冊オレが買ってやる

百科事典を孫にねだられ    (出雲)放ヒサユキ


◎大門の見返り柳から始め

お稲荷さまへお籠りに行く   (松江)岩田 正之


◎仕上げには聞こえぬフリの猛特訓

割烹着なぞ袖も通さず     (出雲)吾郷 寿海


◎だんだんと読経の声が高くなり

足の痺れも限界にきて     (江津)花田 美昭


◎初恋の彼女と会える同窓会

勝負下着は紫に決め      (松江)田中 堂太

仏頂面でじゃあ行ってくる   (出雲)原  陽子


◎ウグイスもノド飴ほしい春の雪

ツクシ掘り出す三ツ星のシェフ (松江)高木 酔子


           ◇

 「いっしょにケーキ」は、「家主さん」とその「孫」と…、間の「娘」を伏せたところが心憎い!

 猫の子さんの句は、今どきめずらしい賄(まかない)付き? 若い人には分からないかもしれないけれど…。

 そういえば、「活動家」なんてことばも、ほとんど死語になりましたね。

 「全冊」というのは、「全巻」という意味だったのですか、ヒサユキさん。といって、たとえば全二十巻の百科事典の第一巻だけ買う人も、あんまりいないと思うのですが…。

 美昭さんの句は、ふつうに読めば、お経を聞いている人の足が痺(しび)れて、と取れますが、ちょっとヒネれば別の見方もできそうです。世の中、楽な商売はないということで…。

           ◇

 次は、今日の入選句に五七五の付句です。

           ◇

 さて、五月の第五木曜ですが、長らく「スペシャル」をご担当いただいてきた森露さんに代わって、同じく島根大学教授の要木木純(ようぎぼくじゅん)さんにお願いすることになりました。「連歌甲子園」のユニークな選評でファンのかたも多いことでしょう。ご専門は中国文学―。これまでにないおもしろいお話がうかがえることと期待しております。

 で、木純さんの最初の前句は、

  人生は三日坊主の繰り返し

いきなりどういうおつもりなのかは存じませんが、楽しい七七を、みなさん、いっぱい付けてください。

              (島根大名誉教授)

2014年4月24日 無断転載禁止

こども新聞