島根 「出雲大社の御遷宮をめぐって」

  遷宮は「起源の再現の祭り」

    エネルギーを取り戻し

       未来に向けて生き直す


   講 師 千家 和比古氏(出雲大社権宮司)

   演 題 「出雲大社の御遷宮をめぐって」



 山陰中央新報社の「島根政経懇話会」は平成26年5月26日(月)に定例会を開催します。今回は、出雲大社権宮司の千家和比古(せんげ・よしひこ)氏を講師に迎え、「出雲大社の御遷宮をめぐって」と題して講演していただきます。


  昭和28年以来、60年ぶりに行われた出雲大社の平成の大遷宮「本殿遷座祭」。実はこの遷宮、本殿のみならず境内、境外の末社の修造なども予定されており、平成28年の春まで続く。今回は20年に一度行われる伊勢神宮の「式年遷宮」と重なった。

 さて、出雲大社の大遷宮に関して、出雲大社権宮司・千家和比古氏は「神殿の造替・修造という、いわば形あるものが新しく変わることに注目されがちだが、起源を繰り返すところに大切な意味がある」と語る。すなわち、起源を繰り返す(再現する)ことで勢い(エネルギー)を取り戻して復活し、これからの未来を生きようとする「生き直し」の契機であるということだ。和比古氏は共著「出雲大社~日本の神祭りの源流」(柊風舎)の中で、遷宮の意味について、次のように述べている。

  「御遷宮は様々な意味を内包しているが、歴史祭祀的には起源の再現の祭りである。列島に培われた心意文化は、“有限”をマイナス価値とは規定せず、眼前の事実である存在の有限性を認め、むしろ“有限”を連鎖して、有限なるものを代々継承して永遠性を生成するところに価値を見出そうとしてきたものである、と理解している。

  同様に御遷宮は、一定の期間を隔てた御造営、御修造という更新を繰り返すことにより有限を永遠化する行為の歴史に他ならない。けれども、それはたんに物理的な建造物のみを含意するのではない。また無為に繰り返すのでもない。繋ぎの結節であるその繰り返しの画期においては、起源に立ち返ることを思念するのである。なぜなら、起源という初発(はじまり)にこそ理想が存在しているからであり、そこに立ち帰ることにより起源に内在する活力を、・・・・・今に蘇生させ、魂振りさせようとするのである。・・・・・」


 ところで、この遷宮は大社の地に様々な効果をもたらした。神門通りは石畳化や電線地中化で装いを一新、参道沿いの店舗数もそれまでの数倍規模となり、「おもてなし」を合い言葉に多くの観光客を迎えた。一年経過した今もこの賑わいは続いている。山陰の主要観光地や温泉・ホテルなども潤った。

 「本殿遷座祭」から一年余り。改めてこの遷宮の本質、意義などについて千家和比古・権宮司に語っていただく。ご期待下さい。(事務局長 友定雅紀)


<千家 和比古氏のプロフィール>

 1950(昭和25)年、出雲市大社町生まれ。75年、國學院大學大学院文学研究科(日本史学考古学専攻)修士課程修了。76年から84年まで國學院大學付属國學院高校教諭。85年より出雲大社。共著・論考に「出雲大社―日本の神祭りの源流」「古代を考える出雲」「古代出雲と風土記世界」「高屋神殿をめぐる象徴性」など。64歳。

  (本会は会員制です)

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2014年5月15日 無断転載禁止