ヨシダがいく!(1) プロレスラー・日高郁人さん(益田市出身)

相手の攻めに耐える日高郁人さん(右)=昨年11月25日、出雲市今市町の出雲体育館
 いい闘い見せるのが義務

 世の中にはさまざまな職業がある。働くことの面白さ、意味とは何だろう。島根県のPR大使を務める人気キャラクター「吉田くん」と同じ姓を持つ記者が、山陰ゆかりの人たちを訪ねていく。  (生活文化部・吉田真人)

 「何度倒(たお)れても、絶対(ぜったい)に立ち上がってみせる」-。プロレス団体のZERO1(ゼロワン)に所属(しょぞく)する益田市出身のプロレスラー日高郁人さん(41)は、強い決意を胸に秘(ひ)め、闘(たたか)いのリングに上がる。

 身長172センチ、体重80キロ。プロレスラーとしては小柄(こがら)だが、スピードで対抗する。必殺技(ひっさつわざ)は「石見銀山」。郷土が世界に誇(ほこ)る遺跡(いせき)にちなんで名付けた。相手を抱(かか)え上げ、マットに落とす時に膝(ひざ)を相手の顎(あご)や胸に当てる。

 昨年11月には、ZERO1の興行(こうぎょう)「神々の国しまねツアー」で益田、出雲両市に凱旋(がいせん)。タッグマッチ計2試合に臨(のぞ)み、益田大会では見事に勝利。出雲大会では敗れたが、その粘り強い闘いぶりに、観客から「いいぞ、日高!」と声援がわいた。

試合後、島根県のPR大使を務めるアニメの人気キャラクター「吉田くん」と共に、観客の声援に応える日高さん=出雲体育館
 日高さんのプロレス歴は17年。現在は全国を回り、年間約100試合を闘う。大柄な相手との骨身(ほねみ)を削(けず)る対戦が続き、けがも絶(た)えない。それでもリングに立ち続けるのは、自らの闘いを通し「失敗しても、諦(あきら)めなければ夢への道は開ける」という思いを多くの人に伝えたいからだ。

 思いは、自らの歩みと重なる。子どものころ、アニメ「タイガーマスク」に憧(あこが)れ、プロレスラーを夢見た。高校では柔道部に入り体を鍛(きた)えたが、周囲(しゅうい)の反対もあり一度は夢を断念(だんねん)。高校卒業後、現金自動預払(あずけばらい)機(ATM)のメンテナンスを行う会社に就職(しゅうしょく)した。

 しかし、夢を諦めきれず、1年半で退職(たいしょく)。アルバイトで生計(せいけい)を立てながら毎日トレーニングを重ね、別の団体の入門テストに合格して、プロレスラーになる夢をかなえた。

 夢を与える職業だけに、日高さんは「いい闘いを見せるのが義務。働くということは、責任を持つこと」と考えている。そのための準備は怠(おこた)らない。連日3~4時間、他の選手と共に全体練習を行った後、さらに筋力(きんりょく)トレーニングやキックボクシングに約2時間、汗(あせ)を流して鍛錬(たんれん)を重ねる。

 「泥(どろ)くさく闘う姿を見てほしい」と日高さん。「いいぞ、日高!」。思いが伝わった証(あか)しの声援を励みに、きょうもリングに立つ。

2014年1月12日 無断転載禁止

こども新聞