きらめく星たち(10) 6月の星空

<6月の星座>  (この星図のように見える時間) 上旬:午後10時半ごろ 中旬:午後9時半ごろ 下旬:午後8時半ごろ
今年限定「初夏の大三角」

 日本では頭上(ずじょう)に見えることのある、ひときわ明るい星が三つあります。初秋(しょしゅう)のベガ、冬(ふゆ)のカペラ。そしてまさに初夏(しょか)の今ごろ、真上に輝(かがや)くのはオレンジ色のアークトゥルス、うしかい座の星です。ベガは七夕(たなばた)の織(お)り姫(ひめ)星として有名ですが、ほかの二つは名前をあまり知られてないかもしれませんね。

 アークトゥルスから南に目を向けると黄色の明るい星があります。惑星(わくせい)の一つ、土星です。もし望遠鏡(ぼうえんきょう)があれば、環(わ)のある姿(すがた)を楽しむことができるでしょう。土星の辺りはてんびん座。三つの星が「く」の字を裏返(うらがえ)した形に並んでいます。惑星は星座(せいざ)から星座へと移っていきますので、「今年の土星はてんびん座に見える」なんて言い方をします。

 土星から西側、つまり右の方を見ると赤っぽい星が明るく光っています。やはり惑星の火星です。土星と火星の間にあるおとめ座のスピカも明るい星ですが、二つの惑星に比べるとひかえめです。その結果、アークトゥルス、土星、火星で作られる大きな三角形が目立っています。だれが呼んだのか、これは今年限定の「初夏の大三角」なんだそうです。

 アークトゥルスのあるうしかい座は、のし袋の「のし」のような形で、その横にくるっと半円形に並んだ星々があります。かんむり座です。明るい星は少ないのですが、空高くに見えるこの形は案外(あんがい)、分かりやすく、そこに向けて腕(うで)を伸ばすと、星のブレスレットのようにも見えます。

 ギリシャ神話に登場する酒の神様ディオニュソスは、人間である妻(つま)アリアドネに七つの宝石をちりばめた冠(かんむり)を贈(おく)りました。妻が亡くなった後、神様がその冠を天に上げたのが、かんむり座だといわれています。

 (島根県立三瓶自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵)

2014年5月20日 無断転載禁止

こども新聞