こどもトピック 命を大切にする心育む

記念碑の前で紫雲丸事故犠牲者の冥福を祈る児童ら=松江市西川津町、川津小学校
語り継ぐ紫雲丸事故の記憶
     松江市立川津小学校の児童ら


 松江市西川津町の同市立川津小学校の児童と教職員(きょうしょくいん)25人の命が、修学(しゅうがく)旅行の途中(とちゅう)に失われた紫雲丸事故(しうんまるじこ)から来年5月11日で60年となります。節目(ふしめ)を前に同校では事故の記憶(きおく)を語り継ぐため、6年生が中心となり、事故についてまとめたポスターづくりや、無事だった生存者(せいぞんしゃ)との交流などに取り組んでいます。


「風化させない」多彩な活動

 事故は1955年5月11日の朝、高松市沖(おき)の瀬戸内海(せとないかい)で起きました。約350人が乗船していた連絡船(れんらくせん)・紫雲丸が濃(こ)い霧(きり)の中で貨物船(かもつせん)と衝突(しょうとつ)しました。紫雲丸は沈没。川津小の児童は21人が亡くなって37人が生き残り、全体で168人が命を失いました。

 「大きな船が汽笛(きてき)を鳴(な)らしながら近づくのが甲板(かんぱん)から見えた。ぶつかった時にドーンという大きな衝撃(しょうげき)があった」。生存者の野津幸次さん(70)=松江市西浜佐陀町=は当時の様子をよく覚えています。

生存者に事故当時の話を聞き、感想を述べる児童=川津小学校
 悲しい事故の教訓(きょうくん)が風化(ふうか)しないよう、川津小の児童たちは現在、多彩(たさい)な活動を行っています。「地域に広める」班と「校内に広める」班は、川津公民館に事故のあらましなどを書いたポスターを掲示(けいじ)し、校内では低学年の子どもに紙芝居(かみしばい)を読み聞かせたり、生存者の話を聞く会を開いたりしています。「記念碑(きねんひ)」班は、学校の中庭にある記念碑の掃除(そうじ)や献花(けんか)を呼び掛け、「紫雲丸の部屋」班は事故にまつわるクイズラリーを開いています。

 6年生の寺井咲季さん(11)は「活動により命の大切さを意識するようになった。もっと勉強したい」と話し、物部咲月さん(12)は「川津地区の人だけでなく松江市の多くの人にも事故を知ってもらいたい」と望みます。

 川津小の活動は、旅客船セウォル号の沈没事故が起きた韓国のメディアも注目。11日には大手テレビ局KBSが取材で同校を訪れました。洪秀真(ホンスジン)特派員(38)は「修学旅行生が巻き込まれた点で、セウォル号の事故とよく似たケース。川津小学校で事故の記憶をどう伝えているのかに関心がある」と話しました。

 同じ日に献花に訪れた、紫雲丸事故生存者の原守さん(71)=東京都北区=は児童の感想文などを見つめて「子どもたちが事故の教訓を受け継いでいるのに勇気づけられる。生き残った卒業生として児童たちに協力していきたい」と決意(けつい)を新たにしました。

2014年5月23日 無断転載禁止

こども新聞