レッツ連歌スペシャル(要木木純)・5月29日付

(挿絵・FUMI)
 村瀬森露さんの後を継いで、選者を担当することになりました、要木木純(ようぎぼくじゅん)と申します。島根大学で中国文学を教えています。連歌の世界はかなり畑違いなのですが、下房桃庵さんに導かれて、その面白さに目ざめました。

 さて、私のお題は、

 人生は三日坊主の繰り返し

でした。多くのことに興味を持ったけれど、結局何らなすことなく終わってしまいそうなわが人生を慨嘆した句ですが、そのままネガティブな方向で付けるのは面白くない。さすが投稿者の皆さんは連歌の作法をご存じで、ひねりを入れたり、ちょっとずらしたり、思いがけない連想をしたり、逆にポジティブにとらえたり、高水準の作品をたくさん頂きました。

会員証を捨てられもせず    (益田)竹内 良子

タンスの外も服がいっぱい   (出雲)石飛 富夫

糠味噌だけは忘れずにまぜ   (松江)高木 酔子

血液型のせいにする父     (益田)石川アキオ

齢七十まだ未完成       (雲南)横山 一稔

酒にタバコに競馬パチンコ   (出雲)放ヒサユキ

いっぱい掛ける免許賞状    (美郷)遠藤 耕次

ついに錦を飾ることなく    (大田)柴 わん子

この次こそと六十二年     (出雲)吾郷 寿海

家に伝わる床の間の軸     (江津)花田 美昭

新品同様バザーで百円     (松江)渡部 靖子

今度ばかりは医者のお告げじゃ (松江)三島 啓克

似たもの夫婦家庭円満     (浜田)勝田  艶

この年でまた就活をする    (松江)金村  正

広く浅くと言えなくもなし   (松江)半田 有行

もう来る頃と酒屋煙草屋    (出雲)米井  薫

あっという間にゴミ屋敷です  (松江)加茂 京子

甲羅ほしてる亀になりたい   (雲南)安部 小春

煩悩のままあれもこれもと   (雲南)佐藤 風子

レッツ連歌は十年を越え    (松江)持田 高行

楽しからずや道を説く君    (益田)古川 洋子

煙草は何故かまだ続いてる   (美郷)源  瞳子

多趣味と言われ目を細くする  (益田)石田 三章

聖徳太子も言われたそうな   (津和野)岡田忠良

雪が降ってもまた春は来る   (江津)岡本美津子

やせてふとってやせてふとって (出雲)原  陽子

上達したのは禁の一文字    (松江)若林 明子

開ければあるある押し入れの中 (川本)大畑喜美子

職歴糧に小説を書く      (江津)江藤  清

たしかにカレーはおいしいけれど(松江)山崎まるむ

           ◇

 美昭さん、明子さんのそんなことはあり得ないだろうと言いたくなるような想像、小春さんやまるむさんの分かるような分からないような変な感じの付け方、洋子さんの古典(与謝野晶子の短歌「さびしからずや道を説く君」)のひねった利用などが私の好みに合いますが、ヒサユキさんのように三日坊主の例をただ並べるのも面白いですね。他にもよい作品がありましたが、紹介しきれませんでした。

 ここでご注意が一つ。前句にある単語や字は、付句ではできるだけ用いないで下さい。例えば、「日記」は「三日坊主」と「日」の字が重なります。読みが違うし、同じ意味で使っているつもりはないと言われるかもしれませんが、付き過ぎを避けて、自由な発想を得るために必要なことですので、ぜひ守って下さい。

 それでは今後ともよろしくお願いいたします。

(島根大学法文学部教授)

2014年5月29日 無断転載禁止

こども新聞