きらめく星たち(12) 7月の星空

<7月の星座> (この星図のように見える時間) 上旬:午後10時半ごろ 中旬:午後9時半ごろ 下旬:午後8時半ごろ
南の空に「さそり座」

 夏の星座といえば、さそり座。南の空、低いところに見える赤い星がサソリの心臓(しんぞう)の部分にあたるアンタレスです。そのアンタレスを通る釣(つ)り針(ばり)のような星の並びが目を引きます。隣(となり)には土星が見えています。

 さそり座の上に目をやると、大きな将棋(しょうぎ)の駒(こま)のような形の星座があります。へびつかい座です。大きなヘビを両手につかんでいるこの人物、実はギリシャ神話に登場する医者、アスクレピオスなのです。

 名医と呼ばれたアスクレピオスは医術の腕前(うでまえ)をさらに上げ、とうとう死者でさえも生き返らせるようになりました。すると困ったのが地獄(じごく)の王。人が死ななくなって地獄へは誰も来なくなったと、神様に訴(うった)えました。神様はそれを聞き入れ、雷(かみなり)でアスクレピオスを死なせてしまったのです。その後、彼は天に上げられ星座になりました。

 ヘビは脱皮(だっぴ)を繰(く)り返(かえ)すことから、生まれ変わる命を表すとされ、医学のシンボルとなっています。だからアスクレピオスはヘビを持っているのです。ちなみにヘビの部分は、へび座といって別の星座となります。

 へびつかい座とへび座の絵は重ねて描(えが)かれていますが、天文学では星座と星座の境界線(きょうかいせん)はきっちりと決められており、星座同士が重なることはありません。

 そのため、へび座は一つの星座なのに、頭と尾に分かれるという変わった星座になっています。もしも、へび座をたどることができるのなら、そこはきっといい空でしょうね。

 へびつかい座と顔を突き合わせている大きな人はヘルクレス座。カブトムシの名前になるほど有名な英雄ヘラクレスのことです。強い男を象徴(しょうちょう)するように、彼もまた手にヘビをつかんでいます。

 (島根県立三瓶自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵)

2014年6月17日 無断転載禁止

こども新聞