米子境港・島根 「どうなる今後の日本経済」

  成長エンジンは家計から企業へ

    カギは「設備投資」「輸出」

       構造改革の行方にも注目


   講 師 吉崎 達彦氏((株)双日総合研究所副所長)

   演 題 「どうなる今後の日本経済」



 山陰中央新報社の「米子境港政経クラブ」「島根政経懇話会」は平成26年7月17日(木)・18日(金)に定例会を開催します。今回は、(株)双日総合研究所副所長・チーフエコノミストの吉崎達彦(よしざき・たつひこ)氏を講師に迎え、「どうなる今後の日本経済」と題して講演していただきます。


 「消費税増税の影響は思ったよりも小さい」―吉崎達彦氏は、自身が主宰する「溜池通信」の中で、こう見通しを述べている。事実、内閣府の消費動向調査6月第三週(6月27日発表)分によると、自動車・家電・飲食料品・百貨店・サービス分野で多少バラつきはあるものの、「マイナス幅縮小」「反動減から持ち直し」など、総じて「反転、もしくは底入れ」の表現が並ぶ。6月の月例経済報告も景気基調を2ヵ月連続で据え置いたが、個人消費は上方修正した。政府の狙いは、年末の再増税論議に向け、「7-9月期のGDPこそが勝負」との見方(溜池通信)をしており、5.5兆円規模の補正予算を、夏場に集中投入する腹づもりも見え隠れする。

 吉崎氏は、成長のエンジンがいよいよ家計(個人消費)から企業へと移ることを期待する。そのカギは「設備投資」と「輸出」だ。6月の日銀短観によると、大企業の設備投資計画は大幅に上方修正され、製造業の2014年度の設備投資計画(ソフトウエア除く)は前年度比12.7%増で、6月調査としては8年ぶりに高い伸びとなった。また、海外で需要が伸びている傾向を背景に、大企業製造業の輸出売上高も前年度比1.4%増と拡大する見通しだ。

 企業の好調さを裏付けるデータとして、例えば5月の有効求人倍率は1.09倍で前月比0.01ポイント上昇し、バブル崩壊後の1992年6月以来、21年ぶりの高水準となった。また、来年3月卒業予定の大学生就職内定率が6月1日時点で61.3%と、前年を7.9ポイント上回った。さらに、2013年度の国の一般会計税収は、46兆円台後半に達する見込みで、4年連続で前年度を上回り、リーマン・ショック前の07年度に次ぐ高水準となる。いずれもこのところの企業業績が上向き基調にあることを示している。

 「今後の日本経済の課題は構造改革に尽きる」と吉崎氏は言う。先月、政府が示した「新たな成長戦略」では、人手不足に直面する日本の活路を、女性と外国人に求めた。また、農業・雇用・医療分野といったいわゆる“岩盤”規制改革を断行し、法人税減税、株価重視も盛り込んだ。

 また、安倍首相は6月14日に島根・鳥取両県を視察、政権が重視する地域再生に向け、「地方創生本部」の新設を表明した。担当閣僚を置き、景気回復の効果を地方に波及させるため、省庁横断的な組織として支援策や法整備などを検討する。

 TPP、集団的自衛権、日中・日韓問題など多くの課題を抱える安倍政権だが、どう日本経済の舵取りを行うのか。吉崎氏に読み解いていただく。          (事務局長 友定雅紀)


<吉崎達彦氏のプロフィール>

 1984(昭和59)年、一橋大卒、日商岩井入社。広報誌「トレードピア」編集長、米ブルッキングス研究所客員研究員、経済同友会代表幹事秘書・調査役など歴任。日商岩井とニチメンの合併を機に2004年から現職。テレビ朝日「サンデープロジェクト」、テレビ東京「モーニングサテライト」などでコメンテーターを努める。著書に「アメリカの論理」「オバマは世界を救えるか」「溜池通信 いかにもこれが経済」など。富山県出身、53歳。

  (本会は会員制です)

■政経懇話会のページへ↓

http://www.sanin-chuo.co.jp/seikeikon/index.html

2014年7月3日 無断転載禁止