レッツ連歌(下房桃菴)・7月10日付

 田中友子(ペンネームはすみ)さんのことは覚えていらっしゃいますか。旧姓宇山先生といえば、松江南高校で国語を教わったというかたも、いらっしゃるかもしれません。かつて「レッツ」の常連さんだったのですが、その後病床に伏され、昨年五月、七十一歳でお亡くなりになりました。

 このほど、一周忌にあたって、『孔雀蝶レンズいっぱい写されて』と題する遺稿・追悼集が刊行されました。編集は、松江高校(現松江北高校)、島根大学文理学部(現法文学部)以来の友人、芳賀普子さん。

 友子さんは、若いころから連句に親しまれ、その縁でレッツの仲間にもなっていただいたようです。

 表題の句は、平成八年、東京新宿の朝日カルチャーセンター「連句入門教室」で、

  雛の葛籠(つづら)の仕舞はるる頃

にお付けになった作品の由。

 平成九年の「松江おもしろ連句大会」にお寄せいただいた、

   日がな一日行きつ戻りつ

  憧れの女教師の窓つきとめて

という付句も、この冊子に採られております。

 「レッツ」からは、

   経験を話して回る小学校

  スカーフ取って見せる傷跡    (第一七七回)

   酔えばやたらと人ほめる癖

  辣腕のデカと噂の昼の顔     (第二〇一回)

などなど、およそ三十句!

 立派な追悼集が刊行されて、泉下のご本人もさぞお喜びのことでしょう。同時に、われわれにもこの上ない励ましとなると存じて、このこと、ご紹介させていただきました。

           ◇

(挿絵・麦倉うさぎ)
 クシャミ出るほど冷房が効き

予報士のきょうの予報は大ハズレ(浜田)三隅  彰

冬物の特別セール幕を開け   (松江)田中 堂太

スーパーの鮮魚売り場は威勢よく(江津)江藤  清

パレードの稽古に励むペンギン舎(松江)岩田 正之

中庭へそっと抜け出す会議中  (松江)持田 高行

角界を退き店を立ち上げて   (江津)岡本美津子

フィルターの掃除したのはいつだっけ
               (松江)佐々木滋子

またオレの噂してると思い込み (出雲)吾郷 寿海

熱燗の旨さ教える酒まつり   (出雲)黒田千華子

早々にみこしを上げる飲み放題 (出雲)原  陽子

カーデガンそっと取り出すバス旅行
               (益田)石川アキオ

まだトイレ休憩がないバスツアー(大田)杉原サミヨ

その上に十分水を飲めという  (松江)川津  蛙

再稼働しなくても済むはずなのに(益田)吉川 洋子

汗を拭くタオルまるめて首に巻き(江津)花田 美昭

家庭内別居の種がまた一つ   (松江)三島 啓克

腕と胸グイッと出したニューファッション
               (出雲)矢田カズエ

バカ息子ようやく内科開業し  (米子)佐々木浩子

ラーメン屋あの手この手で生き残り
               (益田)竹内 良子

観客は三人だけの映画館   (津和野)岡田 忠良

応援の熱気ようやく収まって  (松江)渡部 靖子

花嫁は十二単衣でご入場    (浜田)松井 鏡子

鬼嫁のいる家よりは我慢でき  (大田)掛戸 松美

記念日は予想したほど人は来ず (出雲)鬼村 吉郎

宴会の終わった部屋のおかたづけ(雲南)難波紀久子

介護士の汗が滴る入浴日    (浜田)勝田  艶

設定はバナナで釘が打てるまで (松江)若林 明子

どうしてもカキ氷だと孫は言い (松江)花井 寛子

あとおよそ五分で終点博多です (松江)安東 和実


           ◇

 次は、

  風切って坊さんが行くミニバイク

に、七七の句を付けてください。

(島根大名誉教授)

2014年7月10日 無断転載禁止

こども新聞