仕事みてある記 隠岐島民に司法サービス

相談内容をまとめた書類を作る堀友紀子さん=島根県隠岐の島町港町、法テラス西郷法律事務所
 法テラス西郷法律事務所の弁護士
       堀 友紀子さん(島根県隠岐の島町港町)


 「隠岐の人たちに司法サービスを届けたい」。堀友紀子(ほりゆきこ)さん(35)が、法テラス西郷法律事務所(島根県隠岐の島町港町)で笑みを浮かべた。離島(りとう)の隠岐地域に常駐(じょうちゅう)する唯一(ゆいいつ)の弁護士。登録(とうろく)から2年目の「駆(か)け出し」だが、島民の法律上の悩(なや)みやトラブルを解決しようと、奮闘(ふんとう)している。

 堀さんが手掛ける相談や依頼の内容は、遺産(いさん)や財産(ざいさん)の相続(そうぞく)、離婚(りこん)、多重債務(たじゅうさいむ)の過払い金返還請求(へんかんせいきゅう)など、幅広(はばひろ)い。依頼にかかわる法律を調べたり、依頼者に面会するなど、多くの仕事を連日こなしていく。

 和歌山県出身で、愛媛県育ち。愛媛大学法文学部を卒業後、消費者金融(しょうひしゃきんゆう)会社や高齢者福祉施設(こうれいしゃふくししせつ)での勤務(きんむ)を経(へ)て、2007年に28歳で島根大大学院法務(ほうむ)研究科(山陰法科大学院)に入学。卒業後の11年、司法試験(しけん)に合格した。

 法曹(ほうそう)としての原点は、消費者金融会社での経験(けいけん)。相談に訪れる人の多くは離婚や、それに伴う養育費(よういくひ)の負担(ふたん)、借金返済の過払いといった法律がかかわる問題に悩んでいることを知った。

 同時に「地方では司法サービスが行き届いていない」と実感。06年、法科大学院修了者らを対象とする新司法試験制度ができたのを契機(けいき)に、法律を学び直そうと決意し、「地域に根差した法曹養成(ようせい)」を目指す山陰法科大学院の門をたたいた。

 大阪市の法律事務所で1年間の修業(しゅぎょう)を終え、今年1月に隠岐に着任。慣(な)れない仕事が日々舞(ま)い込み、調査や資料作りなどで苦労することも多い。「自分には少し荷(に)が重いのではないか」と、自問自答する日もある。

 励(はげ)みは、手掛けた案件(あんけん)が解決に向かい、依頼者の笑顔と感謝(かんしゃ)の言葉に出会えた瞬間(しゅんかん)。「苦労した分、喜(よろこ)びはひとしお」(堀さん)という。

 「依頼者に寄り添(そ)い、緻密(ちみつ)に判例や法律を調べ、解決の道を切り開く」。弁護士としてのキャリアは浅いが、意思は固い。「地域との絆(きずな)を強め、やれることをやっていく」と自らを奮(ふる)い立たせ、依頼者と向き合っている。

2014年5月16日 無断転載禁止

こども新聞