映画プロデューサーのささやかな日常(16)

映画「日々ロック」の日々沼拓郎。野村周平さんが演じる
 映画を支える“劇伴”とは

     シーン演出最重要出演者

 新作映画『日々ロック』の公開が11月22日に決まったのに合わせ、概要を正式発表しました。原作は集英社『週刊ヤングジャンプ』で連載中のロック漫画。主演の野村周平さん、二階堂ふみさんをはじめ、史上最高の爆音ロックムービーの名にふさわしく、数多くのミュージシャンが初演技を披露します。

 ミュージシャンではロックバンド「黒猫チェルシー」の岡本啓佑さん、「The SALOVERS」の古舘佑太郎さん、ビジュアル系の「ミサルカ」らが出演し、本作を鮮やかに彩ります。若い俳優以外に竹中直人さん、蛭子能収さん、毬谷友子さんら個性的なベテランの方々にもご参加いただき、とてつもなく熱いロックムービーとすべく、製作を鋭意進めています。

 「黒猫チェルシー」には劇中伴奏曲(劇伴)もお願いしました。劇伴とは、作品中に流れる歌詞のないインストゥルメンタル曲を指します。登場人物の心模様や情景を効果的に伝える役割を持ち、悲しい感情を揺さぶられるシーンでは悲しく切ない曲を、戦いに挑むときには勇壮な曲を流すのが定石です。試しに、字幕映画をDVDで消音にしてご覧になってみてください。劇伴がいかに大きな役割を担っているか、ご理解いただけると思います。

 黒猫チェルシーは神戸出身、パンキッシュで骨太なビートが特徴の4人組のロックバンド。卓越したライブパフォーマンスでファンを魅了しています。ボーカルの渡辺大知さんは、映画『色即ぜねれいしょん』や『渇き。』などにも出演し、俳優としても活躍されています。通常は映画専門の作曲家の方に劇伴を書き下ろしていただくのですが、ロックならではの即興性を重視し彼らにオファー。スタジオで映像を見ながら完成形を探るスタイルがとられました。

 ギターの澤さん、ドラムの岡本さん、ベース兼キーボードの宮田さんが集まり、意見をぶつけ合い、実際に楽器を鳴らしてセッションしながら何が違って、何が目指す音なのかを詰めていきます。撮影された映像に合わせ、かき鳴らされるギターやベース、ドラム。一小節ごとに緻密に練り込んでいく濃密な時間。試行錯誤の末、アグレッシブかつメロディアスな、彼ららしいキラキラした楽曲の数々が完成しました。

 音楽プロデューサーやマネジメント、スタジオミキサーなど10人近いスタッフが、クリエイトできるベストの環境を模索し、実現しようと意思を統一できたからこそ実現したさまを目の当たりにして、僕は素直に感動を覚えました。もの作りの最前線でビシビシ感じるロックのソウル。これこそが、この映画を作りたかった理由なのかもしれません。

 (松竹映像本部 映画プロデューサー・石塚慶生、米子市出身)

2014年7月11日 無断転載禁止