レッツ連歌スペシャル(要木 木純)・7月31付

(挿絵・麦倉うさぎ)
 今回のお題は、

 二十年後に咲く種をまく

でした。私は大学で中国古典文学を教えていますが、学生はまあみんな退屈そうですね。血気盛んな時分で、古典には興味がわかないのでしょう。人生経験と読書体験を積んだ二十年後に読み返したら、きっと面白さがわかってくれると期待しているのですが。

先生の心構えと察します    (出雲)吾郷 寿海

という付句は、私の気持ちをお見通しのようですね。

だらずだがあ明日のこともわからぬに(江津)岡本美津子

その日まで日本列島あるかしら (松江)加茂 京子

 そ、そ、それはそうだ。何があるかわからないのが人生。だからこそ、夢を若い世代に託するわけです。

枕辺で読んで聞かせた偉人伝  (益田)吉川 洋子

初孫にサッカーボール買ってやり(松江)半田 有行

子守唄英語ロシア語中国語   (松江)田中 堂太

 皆さんお子様の早期教育にずいぶんご熱心です。

嫁入りの時に持たせる桐だんす (雲南)難波紀久子

園庭にタイムカプセル埋める子ら(松江)持田 高行

 女の子が生まれると桐を植え、その桐で嫁入り道具のタンスを作るという風習は今でも残っているのかしら。桐とタイムカプセルを付けた句は多数ありましたが、口調の良いものを紹介しました。

 種を植えても、そのままほったらかしはいけません。

婆さんに手入れ任せて飲みに行き(出雲)石飛 富夫

は、ひどい。でも面白い付け方。

毎日の日課に入れておく手入れ (松江)杉本 末吉

毎日の成長ブログで公開し   (大田)掛戸 松美

種をまいたからには、手塩にかけて世話をし続けたいものです。そうすれば、災難も何のその。

権兵衛はカラスに負けずに財をなし(益田)石川アキオ

「権兵衛が種まきゃ、カラスがほじくる」をうまく使っていますね。すばらしい。

 今回の応募作で気に入った句を以下にあげます。俗っぽい表現や奇妙な理屈、それに成語のもじりが私の好みなので、少し選が偏っているかもしれません。

楽しみだ千の風になって見にゆくぞ(松江)福田 町子

我が墓のまわりはこれでパラダイス(出雲)行長 好友

壁越しに夕べ聞こえたうなり声 (松江)野津 重夫

亡き母と出逢うに早し墓参り  (出雲)三原 捷子

愛します君が最後のひとだから (松江)相見 哲雄

幸せは忘れた頃にやって来る  (松江)佐々木滋子

弟子に背を見せてひたすら彫り続け(益田)石田 三章

縦横に知略戦略めぐらせて   (出雲)矢田カズエ

パワハラと非難されそな熱心さ (松江)永瀬 秋風

戦争はしない約束守り抜く   (川本)高砂瀬喜美

教え子の働く姿夢に見て    (出雲)飯塚猫の子

親どうし勝手に決めた許婚   (浜田)勝田 艶

梅干しと梅酒も作る計画で   (松江)花井 寛子

お前百わしゃ九十九まで今日も言い(益田)可部 章二

裏山が高速道路予定地に    (益田)竹内 良子

アボカドやマンゴー入りの見舞籠(松江)森 笑子

デビュー戦先頭打者にホームラン(江津)花田 美昭

明日から手品の仕込み始めます (雲南)横山 一稔

良き噂語り継がれて花となる  (出雲)原 幸子

 選に漏れた方にも、工夫を凝らした宝物のような作品がたくさんありましたが、載せきれません。ぜひ、自信の句をお知り合いに披露して感想を聞いてみて下さい。

             (島根大学法文学部教授)

2014年7月31日 無断転載禁止

こども新聞