映画プロデューサーのささやかな日常(17)

笑って泣ける時代劇映画「超高速!参勤交代」((c)2014「超高速!参勤交代」製作委員会)
 “超高速”の快進撃

     動員120万人若年層にも人気

 夏休みは映画業界にとって、いわば「かき入れ時」です。ジブリやディズニーなど定番の人気作や、莫大(ばくだい)な製作費をかけたハリウッドのコンピューターグラフィックス(CG)大作が毎年公開されます。今年はハリウッド版『GODZILLA』や3D版『ドラえもん』なども公開、大変話題となっています。

 そんな強豪ひしめく中、松竹製作のコメディー時代劇『超高速!参勤交代』はおかげさまで大ヒットとなりました。公開からの2日間でいきなり2位にランクイン。ちなみに、1位は興行収入成績で歴代3位の『アナと雪の女王』でした。

 時代劇映画を待っていた中高年の方々だけでなく、若い人にも足を運んでいただいており、動員は120万人。興行収入は14億円を超えて、ますます加速しています。

 原作に知名度があったり、有名なキャラクターが登場したりするわけでもなく、宣伝費も潤沢にない…。ヒットにはほど遠いと考えられていた本作の人気の理由は、何だったのでしょうか?

 描いたのは、福島県いわき市にあった「湯長谷藩」という弱小藩で起きた出来事。8代将軍・徳川吉宗の治世下、藩に幕府から突然、通常でも8日かかり、莫大な費用を要する参勤交代をわずか5日で行えという無茶(むちゃ)な命令が。実は藩の金山を狙う老中の謀略でした。藩主・内藤政醇は困惑しつつも、部下たちと知恵を絞って参勤交代を完遂させようと作戦を練ることに…。

 企画当初、時代劇なのに“超高速”という現代の言葉を入れることについては、社内でも賛否両論、徹底的な議論が重ねられました。しかし「いったいどんな映画?」と関心を持ってもらうことを最優先し、あえてタイトルとして挑戦することになったそうです。

 そして、城戸賞を受賞した脚本の面白さは圧倒的でした。東京の大会社から地方の弱小企業が無理難題を押し付けられ、それをやり遂げて鼻をへし折る…というような、現代社会にも通じる痛快さがあったのです。

 監督は実写版『ゲゲゲの鬼太郎』や『釣りバカ日誌』などを手掛け、コメディー作品に定評のある本木克英さん。主演の佐々木蔵之介さんをはじめ、西村雅彦さんや深田恭子さんといった演技力に定評のある個性豊かな俳優が起用されました。

 また、『アナ-』の勢いが落ち着いたところの公開というタイミングもヒットを後押ししたようです。コメディー要素だけでなく、実はアクションシーンも見せ場たっぷり。中高年だけでなく若年層も十分楽しめる内容であったのも、要因の一つだと思います。

 安心して笑って泣ける、そしてテレビではあまり見ることのできなくなった時代劇。ぜひ、この機会に足を運んでみてはいかがでしょうか?

 (松竹映像本部 映画プロデューサー・石塚慶生、米子市出身)

2014年8月8日 無断転載禁止