きらめく星たち(17) 9月の星空

<9月の星座> (この星図のように見える時間) 上旬:午後9時ごろ 中旬:午後8時ごろ 下旬:午後7時ごろ
南を向くと南斗六星

 南を向いて空を見ると、ひしゃく形の星の並びがあります。「ひしゃく」と聞くと、北斗七星(ほくとしちせい)を思い浮かべる人も多いと思いますが、それは今は反対側の北西に見えています。南に見えるひしゃくは、北斗七星に比べると小さく、星を数えると六つしかありません。こちらは南斗六星(なんとろくせい)と呼ばれています。

 南斗六星のある辺りは、星座で言うと、いて座です。射手(いて)とは、矢を射る人のこと。「人」とは言っても、上半身が人間、下半身が馬という「半人半馬(はんじんはんば)」の想像(そうぞう)上の生き物として描かれています。

 天(あま)の川は、このいて座のあたりで最も濃(こ)くなっており、そこに双眼鏡(そうがんきょう)を向けると、星雲(せいうん)や星団(せいだん)といった淡(あわ)い天体がたくさん観察できます。

 いて座の左側には、逆三角形、または「笑った時の口の形」に星が並んだ星座があります。やぎ座です。

 こちらの絵は、半人半馬ではなく「半獣半魚(はんじゅうはんぎょ)」とでも言いましょうか、上半身がヤギで下半身が魚となっています。この不思議(ふしぎ)な生き物の正体は、牧場(ぼくじょう)の神様パンといわれています。

 昔々、神様たちが川のほとりで宴会(えんかい)をしていました。そこに現れたのが恐ろしい大怪獣(だいかいじゅう)です。神々は思い思いの動物に変身して逃げました。パンは魚に化(ば)けて川を泳いで逃げようとしたのですが、慌(あわ)てて変身に失敗し、こんな姿になったのだそうです。

 少しおっちょこちょいの神様として語られるパンですが、この姿を、深い海から高い山までどこにでも行けると解釈(かいしゃく)すると、世界の全てに関わる神様とも考えられます。古代の人は星空にも「海」と「陸」があると考え、やぎ座はその境目を表しているという説もあります。このように、星座一つにも深い意味があるのです。

 (島根県立三瓶自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵)

2014年8月26日 無断転載禁止

こども新聞