レッツ連歌(下房桃菴)・9月11日付

(挿絵・麦倉うさぎ)
 さるドラッグ・ストアが募集した「健康川柳」―。全国から応募のあった二千句もの中から、

  ハイハイのレースおむつも飾られて

という作品が、みごと大賞を獲得しました。

 実を言えば、選をしたのはこの私。一読して、これはウマイ、と思いましたね。その作者が、レッツ常連の余村ただし(正)さんだったとは、発表があってはじめて知ったことです。選考資料には、作者名はもとより、住所も年齢も性別も、いっさい記されておりません。ですから、かりに私が「身内」をヒイキしてやろうと思っても、それは決してできない相談! でも、結果は現にこうなった…。川柳にせよ連歌にせよ、ウマイ人はウマイんだなと、あらためて感心いたしました。あわせて、桃菴センセの選球眼にも、ちょっと感動!

            ◇

 七十万を切った人口

その中の一人だバアはがんばるぞ(松江)山本 澄子

年金がもつか不安で眠れない  (益田)兼子 哲彦

八人を産んで育てて孫二人   (出雲)原  愼二

二部屋は自分のものという暮らし(美郷)芦矢 敦子

できるならも一度結婚してみたい(出雲)岩田 観一

増えたがネもとは神様二人だに (雲南)佐藤 風子

十月は神様もいて八百万    (松江)田中 堂太

あの世では羽振りきかせる島根県(松江)佐々木滋子

不思議だね平均寿命延びたのに (川本)高砂瀬喜美

日本は二つの国があるみたい  (松江)中西 隆三

洗濯をしながら待ってるドンブラコ
               (美郷)源  瞳子

畑付き格安民家売り出し中   (飯南)塩田美代子

島根市と改称したらどうかしら (益田)竹内 良子

イノシシも畑が減ると憂い顔  (益田)石田 三章

カタコトの介護士たちに助けられ(浜田)勝田  艶

一票の格差是正はむつかしい  (松江)川津  蛙

この秋はいとこ会とはうらやまし(松江)森  笑子

三番は飛ばして歌う県民歌   (出雲)原  陽子

孫たちに語り部となる夏休み  (松江)渡部 靖子

婆さんは九人姉妹を自慢して  (浜田)三隅  彰

国引きをしてまで広くした昔  (出雲)黒田千華子

ジイさんが冷やしたスイカまた残り
               (江津)花田 美昭

県知事になれる確率高くなり (津和野)岡田 忠良

ユニクロもスタバもあーで戻ってこ
               (松江)高木 酔子

名を挙げた日本一の高津川   (益田)小倉  豊


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 明治九年から十四年までの一時期、今の島根と鳥取と、合わせて「島根県」と称した時代がありました。(おそろしく細長い県だったのですね。)そのころの「県」の人口が一〇〇万ちょっと。今の両県の人口よりもずっと少ないのですが、それでも、「東京府」は、当時まだ一〇〇万にも達しておりません。ま、そんな時代もあったというわけで…。

 それにしても、今回いちばん驚いたのは「島根市と改称」―。なるほど、そうなれば、広島・岡山と並ぶ中四国屈指の大都市! でも、すると、島根県庁と島根市役所と、二つある意味がない。…ということは、これって、もしかして「都構想」ですか。

 なお、「県民歌」というのは、昭和二十六年に制定された島根県民の歌「薄紫の山脈(やまなみ)」のこと。その三番に、「九十万の県民の、平和の歌は今ぞ湧く」とありました。

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 次の前句は、

  天国に召された高所恐怖症

 先日、老母が天寿を全うし、その時ふっと思いついた句です。どうか深刻に考えないでください。付句は七七です。

(島根大名誉教授)

2014年9月11日 無断転載禁止

こども新聞