レッツ連歌(下房桃菴)・10月9日付

(挿絵・麦倉うさぎ)
 第2回「しまだいユーモア連歌大賞」の入選作が、十月十二日の日曜日午後二時十分から、島根大学ホール(松江キャンパス)で、いよいよ発表になります。レッツ勢からもたくさんご応募いただいたのですが、学長賞・優秀賞に輝くのは、さてどなたのどの作品か。

当日は、「表笑式」に続いて、桃菴センセと、「連歌甲子園」でおなじみの小豆澤悦子さんによる、楽しいトークショーも予定されております。

 同時に大学祭も開催中! ついでにちょっとのぞいてみてください。

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 天国に召された高所恐怖症

スカイツリーで訓練はした   (松江)森広 典子

月のうさぎの餅も食いたし   (出雲)栗田  枝

さすが揃っている専門医    (美郷)芦矢 敦子

ここは地面が上に見えるの (出雲)はなやのおきな

食わず嫌いとあらためて知り  (出雲)放ヒサユキ

さいわいここは無重力なの   (松江)半田 有行

秋刀魚の煙届きましたか    (益田)竹内 良子

南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏   (松江)川津  蛙

ひたすら弥陀の来迎を待ち   (松江)松田とらを

実はあの世は地下なんだよね  (松江)山﨑まるむ

住めば都だじきに慣れるサ  (浜田)佐々木勇之祐

悪事も適度にすればよかった  (美郷)遠藤 耕次

生れ変わるともう別人ね    (江津)江藤  清

泣いてすがった閻魔大王    (益田)石田 三章

地に足つけて生きた百年    (出雲)原  陽子

ここより上はもうありません  (江津)岡本美津子

背中の羽がとても気に入り   (益田)吉川 洋子

九ちゃん今はどこ向いている  (美郷)吉田 重美

生きた心地がしない毎日    (松江)三島 啓克

ボランティアです手を貸しましょう
               (出雲)矢田カズエ

夜空見上げて祈る母と子    (益田)石川アキオ

生まれ変わってイキな鳶職   (出雲)黒田千華子

一線越せばなんでもないこと  (松江)本田  章

ふり返らずに登る階段     (雲南)難波紀久子

カウンセラーもさすが揃って  (松江)田中 堂太

それからずっと目を閉じたまま (雲南)佐藤 風子

夏は暑いし冬は寒いし     (松江)野津 重夫

迦陵頻伽となって舞い降り   (松江)花井 寛子


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 そうなんですか、おきなさん。ちっとも知りませんでした。でも、それって、地面が落ちてきそうで、よけい恐くありません?

 そうなんですか、有行さん。そうなんですか、まるむさん。そうなんですか、清さん。あの世のことは、とにかく、知らないことだらけ。

 中には、分かりきった句もありました。

 そりゃあそうでしょう、啓克さん。もう生きていないのですから。風子さんの句も、ごもっとも。

 ところで、啓克さんの句の下七は、もとは「…せぬ蓮の上」とありました。が、ここはサッと流したほうがよい。要は、焦点を二つ作らないこと!

…またまた非礼を顧みず、よけいなこと、申しあげました。

 ほんとうを言えば、「高所恐怖症」なんてもの、実はないと私は思っております。高いところが怖いのは、ごく自然なこと。異常でもなんでもない。ちっとも怖くないというほうが、よっぽど感覚がまひしているのじゃないでしょうか。近代文明が作り出した、病気でない「病気」、他にもいっぱいありそうな気がします。

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 次の前句は―、

  プロに任せておけばよかった

 いきなり何のことかって? だって、よくあるじゃないですか、そういうこと。

付句は五七五!

  (島根大名誉教授)

2014年10月9日 無断転載禁止

こども新聞