紙上講演 大阪経済大学客員教授 岩本沙弓氏

大阪経済大学客員教授 岩本沙弓氏
最新経済分析~日米経済の展望

増税で中小零細企業打撃

 山陰中央新報社の石見政経懇話会、石西政経懇話会の定例会が16、17の両日、浜田市と益田市であった。大阪経済大学客員教授の岩本沙弓氏が「最新経済分析~日米経済の展望」と題して講演し、消費税増税による景気の腰折れリスクに警鐘を鳴らした。要旨は次の通り。

 ここ数日、株価が下落しているが、「直前までの勢いがあり過ぎた」と見るべきだ。価格推移の分析からすると、当面は堅調だろう。米国経済の好調さが、先行きのプラス要因になる。

 一方で、昨年5月に急落した際の1万2400円台をあっさりと割り込むようなら「アベノミクス」はいったん終了と見ていい。一つの見極めラインになる。

 問題は株価の上昇に対し、実体経済の成長が伴っていない点だ。今春の消費税増税以降、消費者物価の上昇を加味した実質賃金や、民間設備投資の先行指標となる機械受注が大きく下落している。

 日本経済は国内総生産(GDP)比の輸出依存度が、諸外国の中で米国に次いで低い。その内需型の経済にとって、消費税増税はマイナス効果で、特に内需を支える中小零細企業が大きな打撃を受ける。

 増税の本質的な影響は来年3月以降、個人事業主の納税時期になって、いざ払えないといったケースが続発し、顕在化しかねない。来年10月に税率10%への再引き上げが実施された場合は、2016年3月以降に同じ状況を迎える。

 さらに、16年は米国の大統領選がある。歴代大統領の為替政策に照らし合わせれば、1期目はドル安(円高)路線となり、日本経済にとって大きなターニングポイントになるだろう。

2014年10月18日 無断転載禁止