輝(き)らりキッズ 山あいに響く歌声、笛、太鼓(たいこ)

「八俣大蛇」を披露する深野神楽子ども教室のメンバー=松江市殿町、島根県民会館
深野神楽(ふかのかぐら)子ども教室(雲南市吉田町)

 12人伝統受け継ぐ

 「ちーはーやふーる。ちーはーやふーる」。子どもたちの元気な歌声が、太鼓(たいこ)と笛の軽妙(けいみょう)な音に合わせ、静かな山あいに響(ひび)きます。月2回、雲南市吉田町深野(ふかの)の田井交流センターで開かれる「深野神楽(かぐら)子ども教室」で地元の小学生たち12人が練習に励(はげ)んでいます。

 この教室は深野神楽保存会(河角義隆(かわすみよしたか)会長)が、江戸時代を中心に盛んに舞(ま)われた深野神楽を次世代に伝えようと、2003年に創設(そうせつ)しました。最近では教室を経(へ)て大学卒業後、Uターンして保存会に入った若者もおり、深野に根差した神楽を支えています。

歌の練習をする子どもたち=雲南市吉田町深野、田井交流センター
 1年生から教室に参加している堀江柊介(ほりえしゅうすけ)君(11)=田井小学校6年=は、昨年から舞に挑(いど)んでいます。スサノオ役で腰を落としたまま30分近く舞い続けるため、体力を使いますが、「イメージ通りにでき、見た人から良かったと言われるとうれしい。神楽が一番好き」と、晴れやかに語ります。

 通常の太鼓より一回り大きい胴(どう)太鼓を担当する多々納悠貴(たたのゆうき)君(11)=同=は、奏楽(そうがく)の経験が豊富で「舞よりも楽器の方が楽しい」と意欲的です。最もやりがいを感じるのは「舞と胴太鼓のリズムが合い、舞台が盛り上がった瞬間(しゅんかん)」。その興奮(こうふん)が忘れられず、神楽を続けています。

 教室は2、3時間ほどで、歌や笛(ふえ)の吹き方は上級生が下級生に教えており、和気あいあいとした雰囲気(ふんいき)で稽古(けいこ)が進みます。堀江君と多々納君も下級生に、歌や演奏のこつを伝えながら、練習を重ねています。河角会長(70)は「よくやっている。かわいらしさもあり、好評(こうひょう)だ」と喜(よろこ)んでいます。

 子どもたちが力を注ぐのはスサノオがヤマタノオロチを退治(たいじ)し、クシナダヒメを救(すく)い出す「八俣大蛇(やまたのおろち)」。11月1日に、松江市殿町の島根県民会館であった舞台で、スサノオとオロチが迫力ある攻防を披露(ひろう)しました。

 フィナーレで、スサノオ役の堀江君が「八雲立つ出雲八重垣妻(やえがきつま)ごみに 八重垣つくる その八重垣を」とうたい、観客から拍手を送られました。上演後、多々納君と堀江君は壇上(だんじょう)で「これからも神楽を続けたい」と誓(ちか)っていました。

2014年11月19日 無断転載禁止

こども新聞