レッツ連歌(下房桃菴)・12月11日付

(挿絵・FUMI)
 同級生にばったりと会い

先生のあだ名からまず笑い合い (益田)石田 三章

スッピンで家を出たこと後悔し (浜田)山崎 重子

ふるさとのなまりなつかし停車場の
               (松江)植田 延裕

お互いに杖を持つ手を高く上げ (益田)山下 明子

一の日は全商品が二割引き   (松江)岩田 正之

ランドセル背負ったままでコンビニへ
               (浜田)勝田  艶

ウインドに映す私の立ち姿   (浜田)宇津崎育枝

よし決めた今日の言い訳これでいこ
             (出雲)はなやのおきな

乗り合わす三途の川の渡し舟 (津和野)岡田 忠良

バツイチと知って話が長くなる (松江)相見 哲雄

おトイレで入れ歯外して口すすぎ(松江)高橋 光世

公園のベンチで五時の待ち合わせ(益田)黒田ひかり

お互いに目線をそらす留置場  (出雲)放ヒサユキ

久々に待合室で盛り上がり   (松江)森  笑子

好きだったなどとからかうフリをして
               (安来)根来 正幸

男子校だったが今は女子大生  (米子)佐々木浩子

久しぶり江田島流の挙手の礼  (松江)中西 隆三

先生と結婚したのあなたなの? (松江)加茂 京子

声かけたとたんになぜか謝られ (出雲)明石や小枝

マドンナも今じゃふつうに詰め放題
               (松江)高木 酔子

初恋は思い出だけのほうがいい (松江)中村 清子

本名を寝床でやっと思い出し  (益田)可部 章二

アタクシは芦屋に住んでおりますの
              (奥出雲)松田多美子

天国も大したことはおまへんな (松江)田中 堂太


           ◇

 何十年ぶり…、という句が多かった中、艶さんの「ランドセル」―、ひときわ目立ちました。小学生どうしだったら、毎日顔を合わせているはずだけど、なるほど、学校帰りのコンビニは、お互い、ちょっとバツが悪い。前句の「ばったり」が、よく生かされております。

 ひかりさんの「公園のベンチ」も現役の、これは中学生でしょうか。「五時」というところがかわいいですね。それでも昔は「不良」と言われましたが…。

 病院でひょっこり、という句もたくさんいただきましたが、笑子さんの句は、それを「待合室」で暗示したところがすばらしい。駅の待合室だと思うかたは、レッツ子には、まさかおられないでしょうね。こういう句は、読むほうの実力も試されているわけで…。

 酔子さんの「ふつうに詰め放題」は、なぜこんなにおかしいのでしょう。「ふつう」ということばの使いかたが、ふつうじゃないということでしょうか。

 「なぜか謝られ」は、まるで落語のよう。実際、江戸落語の「船徳」では、親方に呼ばれた若い衆が、叱られるものと早合点して先に謝ったがため、過去の悪さがバレてしまう。上方では、「質屋蔵」の熊はんが、大旦那の前で同じようなヘマをやらかします。

 そういえば、この句の作者、はなし家さんみたいなお名前ですが、なにかそういうご関係でも?

 ペンネームにもいろいろありますが、「本名を…」の章二さんの本名は、これとはちょっと違う、のだそうです。なんでも、「壁に耳あり、障子に目あり」のもじりとか伺いました。

           ◇

 いよいよ来年の「新春特集」の作品募集です。

前句はこの前予告したとおり、

  ギネスブックに挑む連凧(れんだこ)

 しばらく句作りをお休みになっておいでのかたも、お正月だけはお帰りになってください。同窓会をやりましょう。

 付句は五七五です。

                (島根大名誉教授)

2014年12月11日 無断転載禁止

こども新聞