紙上講演 政治アナリスト 伊藤 惇夫氏

政治アナリスト 伊藤 惇夫氏
2015年 日本政治の行方

「一強他弱」変わらず

 山陰中央新報社の石西政経懇話会、石見政経懇話会の定例会が9、10の両日、益田市と浜田市であった。政治アナリストの伊藤惇夫氏が「2015年 日本政治の行方」と題して講演し、今回の総選挙での自民党の圧勝を予測。選挙後も「一強他弱」の構図は変わらないとの見通しを示した。要旨は次の通り。

 今は選挙戦の真っ最中で、候補者はまさに命がけの戦いをしている。安倍晋三首相がこの時期に衆院を解散したのには四つの理由がある。(1)政権の支持率が高い(2)野党の態勢が整っていない(3)アベノミクスへの期待感が持続している(4)年末の選挙は投票率が下がり自民党に有利に働く-ということだ。

 選挙戦の行方だが、マスコミの世論調査の結果通り、自民党が圧勝するだろう。近年の選挙では、日本の有権者はマスコミの予測を受けて投票行動を変える傾向は薄く、ほぼ予測通りの結果が出ている。今回の投票率は戦後最低に落ち込む可能性が高い。そうなれば、無党派層は動かないことになり、予測に近い数字となる。

 ただ、「選挙には魔物がいる」とも言われる。1998年の参院選では、当時の橋本龍太郎首相の人気が高く、今回同様、自民圧勝の予測だったが、減税の問題で首相の発言が二転三転し、自民党は大惨敗した。過去にこうした事例もあり、予測が100%確実とは言えない。

 一方、今の状況では、民主党は多少増えても、維新の党はかなり減るだろう。民主はうまくいって80議席、維新は30議席いけばいい。この二つの党が結び付いてもインパクトはない。その他の党も厳しく、一強他弱の構図は選挙後も当分変わらないとみる。

 安倍政権の課題は、何と言っても、景気回復を安定軌道に乗せられるかどうかだ。特定秘密保護法や集団的自衛権の解釈変更の問題では世論の反発が強いが、支持率が下がらないのは経済への期待感が大きいから。期待に応えられなければ、政権は危機的な状況になるだろう。

2014年12月11日 無断転載禁止