映画プロデューサーのささやかな日常(21)

映画について『日々ロック』の入江悠監督(中央)、脚本家の吹原幸太さん(右)と語り合う=都内、シナリオセンター講座にて
 2014年の映画界、ヒット作の傾向とは?

     家族で観られる作品人気

 あっという間に師走となり、寒い日が続いています。山陰では既に雪がちらついていると聞いております。

 今年、映画界においては『アナと雪の女王』という大ヒット作が誕生し、世間をにぎわわせました。興行収入は250億円を超え、実に歴代3位。今までのディズニー映画よりも幅広い年齢層、そしてあまり映画館に足を運ばない人々までも巻き込み、多くのリピーターを獲得しました。

 日本での人気は世界でも群を抜いており、本国アメリカでも「社会現象ともいえるほどの人気は誰も予測していなかった」と言われているそうです。

 ヒットした要因は「誰もが共感できる普遍的な成長譚(たん)」というテーマ、そして「魅力的なキャラクターのダブルヒロイン」という設定が、新鮮に映ったこともあるのでしょう。

 劇中歌「レット・イット・ゴー」の吹き替え版「ありのままで」は、町中で子どもたちが歌う姿を目にしました。圧倒的に覚えやすいメロディーと、丁寧に考えられた日本語訳の効果が絶大でした。

 日本映画では、ヒット順で言うと『STAND BY ME ドラえもん』『るろうに剣心』の『京都大火編』と『伝説の最期編』、『テルマエ・ロマエII』『名探偵コナン 異次元の狙撃手』『思い出のマーニー』など、アニメやコミック原作のアクション大作などが挙げられます。

 現在の日本の映画マーケットは、アニメやコミックを原作にした作品にニーズがあると実感できます。世代を超え、家族で観(み)ることのできる作品が人気を博している点も、数年前の映画マーケットと比べ、より顕著になっているようです。

 そんな中でも実写で、しかも時代劇という少し躊躇(ちゅうちょ)されそうな映画『超高速!参勤交代』は、原作のない映画オリジナルストーリーでありながら15億円を超えるヒットとなりました。

 一見頼りなさげな殿様がピンチになったときに魅せるカッコよさも見どころですが、個性的な部下たちがスクリーンで暴れまわり、シンプルに楽しめるドタバタ劇でもあります。「難しいミッションをクリアする」という、ストレートな物語の強さも求められていることがわかります。

 最も多く鑑賞されたのは50代男性。次は20代女性、30代女性というまれに見る年齢構成でした。楽しめる要素があればジャンルにとらわれず観るという、女性の映画に対するブレない選択傾向も想像されます。

 来年も数多くの映画が制作され公開されます。アニメだけでなく、実写や社会的な問題提起作、新しい表現のアート的作品…。さまざまなジャンルかつ、受け手の意識で感じ方が違ってくる作品の「世界」に手軽に出会えるひとときが、映画の大きな魅力だと思います。映画制作者のひとりとして、1本でも多くの映画に触れていただければうれしいです。

 (松竹映像本部 映画プロデューサー・石塚慶生、米子市出身)

2014年12月12日 無断転載禁止