検証 全豪8強(1) 錦織に「2週目の壁」

 1日閉幕したテニスの全豪オープンに錦織圭(日清食品、松江市出身)が自己最高の第5シードで挑んだ、日本人初の四大大会制覇への道は準々決勝で断たれた。

 準優勝した昨年の全米オープンに続く四大大会8強の戦いは関係者の目にどう映ったのか。現地で見えた成長と課題について聞いた。 


日本テニス協会強化本部副本部長 松岡修造氏
日本テニス協会強化本部副本部長 松岡修造氏

 重圧や迷い越える力を

 四大大会で錦織圭選手が優勝できるかと問われれば、「ノー」と言う人はいない。それがいつか。今回ではなかった。(大会期間2週間の長丁場で、4回戦以降の)グランドスラム2週目の難しさを思い知らされる大会になった。

 思い切りコートの中に入って攻める「最新のテニス」を見せた全米オープンは、けがから勝ち上がり、決勝までほとんどノンプレッシャーだった。

 今回の準々決勝、スタニスラス・ワウリンカ(スイス)戦も自分のテニスをすれば、チャンスは十分はあったが、いつもと違うプレッシャーがあった。彼にしか分からない雰囲気が、そうさせてくれなかったというのが一番近い。

 体調はいいし、守らなければいけない感覚で、挑戦者という気持ちではいられなかった。「全米の決勝の雰囲気と似てるな」と思った。

 今回、僕はミロシュ・ラオニッチ(カナダ)が(準々決勝で)ノバク・ジョコビッチ(セルビア)に勝つと思っていたが、錦織選手と同じだった。ジョコビッチが良かった訳じゃない。「壁」だ。

 (4回戦敗退の)グリゴル・ディミトロフ(ブルガリア)を含め、次世代を担う3人が、何かに迷い、自分たちのテニスをさせてもらえなかった。1人はベスト4に入るとみていたが、誰も入れなかった。

 ジョコビッチも、アンディ・マリー(英国)も、ロジャー・フェデラー(スイス)、ラファエル・ナダル(スペイン)というとんでもない選手がいて、優勝に向かう「2週目の壁」を破るのに何年もかかった。

 錦織選手のテニスは出来上がっている。世界ランキング5位じゃなくて「世界一のテニスをしている」とジョコビッチも言っている。あとはコート上で表現できるかどうかだ。

 (準々決勝進出を果たし)シードを守ったことは高く評価できる。ただ、彼は満足してない。「最低限だ」と。錦織選手は間違いなく世界を引っ張っている。壁は越えられる。とんでもない希望は見えている。


 まつおか・しゅうぞう 日本テニス協会強化本部副本部長。解説者。現役時代は日本のエースとして活躍し、1995年ウィンブルドン選手権で日本男子62年ぶりの8強入りを果たした。男子シングルスの世界ランキング最高位は46位。東京都出身。47歳。

2015年2月3日 無断転載禁止

  • 47クラブ