検証 全豪8強(2) 筋力強化見えた成果

元プロテニスプレーヤー 神尾米氏
元プロテニスプレーヤー 神尾米氏

 サーブの違いを実感

 体つきを見て、オフにしっかりとトレーニングしてきたのが分かった。第4セットに入っても、190キロのサーブを打ち切れるようになったのは相当やってきたということ。

 (準優勝した)全米オープンと比べ、第1サーブの平均速度(全米175キロ、全豪186キロ)は10キロ以上も上がっている。

 力は足から腕に伝わる。下半身のバランスや体の裏側の筋肉が大事だと聞いているが、(サーブの)スピードを上げさせたコーチたちもすごい。見ていても特にサーブで昨年との違いが出ていて、戦いやすそうだった。

 1、2回戦はペースがつかめなかったが、我慢して勝ち切った。リズムに乗れなくても当然のようにサービスをキープしていたのは世界5位の底力。相手は「本物の強さ」を感じ取ったと思う。

 自分のプレーをさせてもらえなかった準々決勝はスタニスラス・ワウリンカ(スイス)が(敗れた全米オープンを)反省し、対策を取ってきて、慌てず、どっしりと、気持ちでやられない、勢いで負けないという戦いをしてきた。

 錦織選手は全米で見せたようなスーパーショットが出なかったが、第4セットのタイブレーク(相手のマッチポイントの)1―6から「やるなー」というプレーは見せてくれた。(追い付いた6-6から、ネットにかけた)ドロップショットは、いい選択だった。ただ、それが入らなかった。

 錯覚してはいけない。四大大会ベスト8は簡単なことではない。周囲の“がっかり度”は、それだけ世界から注目されていたということだ。

 背は高くないが、ハードショットが打てて、ドロップショットなどのトリッキーなプレーは見ていて楽しい。ファンを喜ばせる、グランドスラムを楽しくすることができる選手だ。

 スーパーショットが出なかったのは、気持ちの問題なのか、体力面、雰囲気、焦りなのか。そこは分からないが、大切なのは負けた後どう立て直すか。

 一発勝負の捨て身でくる相手も倒していかないといけない。「ビッグ4」はツアーで負けても、四大大会ではしっかり(優勝争いに)戻ってきているから、そう呼ばれている。やって、やられて。その繰り返し。

 (前回勝った相手に敗れ)簡単に2回は勝たせてくれないと分かった。次はやり返す番だ。


 かみお・よね 元プロテニス選手。1994年に全日本選手権女子シングルス制覇。95年は全仏を除く四大大会3大会で3回戦進出を果たし、世界ランキング24位に。現在はWOWOWなどでテニス解説を務める。ブリヂストンスポーツ所属。横浜市出身。43歳。

2015年2月4日 無断転載禁止