検証 全豪8強(3) 先制攻撃で主導権奪え

WOWOWテニスナビゲーター フローラン・ダバディ氏
WOWOWテニスナビゲーター フローラン・ダバディ氏

 読みの遅れ動き鈍らす

 キャスターと同時にジャーナリストとして「世界がどう錦織圭を見ているか」を考えている。大会前、世界中の新聞やウェブで「ビッグ4」の次に「錦織圭」が続いていた。どれだけすごいことか。

 ATPツアー・ファイナルでアンディ・マリー(英国)を破り、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)を追い詰め、全米オープン(準優勝)がフロック(まぐれ)ではなかったことを証明した。今年は「世界のスター」として注目される一年になる。

 今大会も(序盤から)全米のようにタフだったらエンジンがかかったかもしれない。4回戦まで力を温存でき、理想的だったが、準々決勝でいきなり本番を迎えた感じ。逆に(相手の)スタニスラス・ワウリンカ(スイス)は準備万端。(錦織は)強みを全部奪われてしまったようだった。

 全豪のハードコートは早くポジションを決め、ためをつくり、主導権を握る選手が有利。(いつもなら)読みが早く、前でライジングが打てる(錦織の)テニスは生きる。

 だが、この日は半歩遅かった。松岡修造さんは「(次のプレーが)読めないから腰が浮き、メンタル的な迷いでフットワークが遅くなった」と話していた。

 だから、マイケル・チャン・コーチが言ってきた「腕に頼らず、下半身で、腰を振ってから打つ」という基本ができなかった。

 忍び足で隙を狙うような戦い方ではなく、向かってくる相手より先にアタックを仕掛け、自分から主導権を奪いにいく試合をしていかないといけない。

 初めて会ったのは全仏オープン男子ジュニアダブルスで優勝した2006年。シングルス決勝に進んだラファエル・ナダル(スペイン)の練習相手をして、「ボールが重い、次元が違う」と言っていたのを思い出す。

 (昨年の)全米まではスタジオでインタビューした時、フワッとしていたが、今はどっしりと地に足がついている。眉間にしわが増え(世界ランキング5位の)責任を感じながら、しっかり考えて話している様子だった。

 最後にもう一つ。英語が、語彙(ごい)も増えて“うまくなった”。これもスターになっているということ。世界中からインタビュー(依頼)がすごく増えたのだと思う。欲を言えば、英語でも、もっと冗談が増えるといいかな。こちらが脱帽するようなロジャー・フェデラー(スイス)やジョコビッチほどではなくていいから。


 スポーツキャスター。ジャーナリスト。7カ国語を操る異才で、2004年からWOWOWテニスナビゲーター。1998年から2002年まで、サッカー日本代表監督の通訳、アシスタントを務めたことでも有名。フランス・パリ出身。40歳。

2015年2月5日 無断転載禁止

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