レッツ連歌(下房桃菴)・2月12日付

(挿絵・FUMI)
お買い得品買って損する

ワケありのワケは小さく書いてあり
               (出雲)原  陽子

デパ地下で六時半まで待った末 (松江)半田 有行

ノセられてほんの弾みで嫁に来て(松江)佐々木滋子

見合では酒も煙草もダメと聞き (出雲)原  愼二

オプションが多くて使いこなせない
               (大田)福田 葉摘

寒い中並んで待って風邪を引き (雲南)板垣スエ子

古民家のスローな暮らし夢に見て(松江)岩田 正之

ゴミの日にしっかり包みそっと出し
               (雲南)渡部 静子

わたくしが喜ぶとでも思ったの (出雲)西尾 佳子

店たたみ姿消したる骨董屋   (飯南)塩田美代子

食べ過ぎてお金をかけるダイエット
               (松江)田中 玉美

ぶら下がり健康器具がひん曲がり(益田)石川アキオ

天国と隣り合わせにある地獄  (邑南)山本みつ江

一つしか使わないのにパパもなの(雲南)佐藤 風子

モニターをお願いされた不眠症 (安来)宇山 治恵

女房にする言い訳を考えて   (出雲)放ヒサユキ

先生はお目が高いとおだてられ (松江)松田とらを

税抜きの価格だったと気づくレジ(益田)石田 三章

貯める人貯まらない人すぐ判り (美郷)源  瞳子

ポチだけが黙って食べる期限切れ(雲南)安部 小春

義母さんにゃ派手すぎますと持ってかれ
               (江津)花田 美昭

数の子はリメイク料理にも向かず(松江)水野貴美子

通販の箱ごと眠るフライパン  (出雲)栗田  枝

鑑定でニセモノですと太鼓判  (浜田)勝田  艶

二束の野菜一束腐らせて    (松江)須田万里子

あの店を支えてるのは私です  (松江)加茂 京子

去年より大きくなった腹回り  (松江)植田 延裕

異物など入ってなけりゃヨシとする
               (松江)森広 典子

よく見れば微妙に違うロゴマーク(益田)黒田ひかり

半額と見れば体が踊り出し   (益田)吉川 洋子

要らぬものまで入ってる福袋  (出雲)吾郷 寿海

パソコンはソフトがないと動かない
               (松江)川津  蛙

また今日も同じ服着た人に会い (松江)中村 清子

毎日が蟹三昧じゃ飽きも来る  (松江)河本 幹子

使わないオマケいっぱい付いていて
               (浜田)松井 鏡子

帰りにはタクシーを呼ぶ段ボール(松江)高木 酔子


           ◇

 お買い得といっても、書画骨董の類だと、何十万、何百万。それでニセモノをつかまされた日にゃ、たまったものじゃない。そういう状況を詠んだ作品、ずいぶんたくさん頂きましたが、その中で艶さんの句は、「太鼓判」という表現がピカ一。

 念のため申しますと、「ホンモノですと太鼓判」なら、ふつうのことばづかい。「ニセモノですと太鼓判」は、いわばことばの誤用です。が、すぐれた表現というものは、だいたいが、ヘンなことばづかい、なものなのです。

 とてもシンプルな原理ですが、この逆が成り立たないところが悩ましい。ヘンなことばづかいは、だいたいが、ダメな表現ですから。小むずかしくいうと「ヘンなことばづかい」は、「優れた表現」の必要条件ではあるけれど、十分条件ではぜんぜんない、ということなのです。

           ◇

 次の前句は、

その後は聞かぬ天才少年

 別に「少女」でもよかったのですが、ときどき話題になっては、いつの間にか忘れ去られてしまいます。凡人のヤッカミも込めたこの句に、痛快な五七五を!

               (島根大名誉教授)

2015年2月12日 無断転載禁止

こども新聞